あなたのお名前は？

いつだったか、少年が逮捕されたニュースをみていて
その少年の名前がとても「いい名前」だったことが印象的で
それ以来、「容疑者」となってしまった人々の名前を確認するようになった。

私も妊娠、出産経験があるので
ひとりの命がこの世に生まれてくる時のことを覚えている。
おなかに宿った時から、誰もがその子の誕生をまちわびる幸せな時。
そして、「名前」は親達がその子に贈る最初のメッセージだ。

ちなみにうちの息子達の名前は私がつけた。
あの頃、主人が私に委ねてくれたのだと思う。

うちの息子達の名づけのコンセプトは「ガールフレンドが呼びやすい名前」
幸せな人生を送れますようにとの願いを込めたい。
男の幸せってなんだろう、と考えた末
「やりがいのある仕事」と「女の子にもてること」だろうなと思ったので、
お相手の女性が「呼び捨て」または「〇〇くん」と呼びやすい名前にした。

名前をいくつも考えて、苗字とつなげて並べて書いて
お習字の時にバランスとりやすいかとか
なんかへんなあだ名をつけられないか
なども慎重に考慮して決めた名前だ。

犯罪を犯して、容疑者となった人にも
生まれてくるときにはこんなエピソードがあったのではないだろうか。
特に、文頭に書いた少年の家庭は貧困で、両親も教育を受けていなそうだったのに、名前がとても素晴らしかった。

私にも名前がある。
私の両親（特に勝気な母）がつけそうな名前で
私も気に入っている。
その名前は、この57年の人生でいつも私のシンボルとして輝いている。
ランドセルに書かれ、表彰状にも、合格通知にも書かれて
友達や、ボーイフレンドに親しみを込めて呼ばれた。
この世を去ってからも、この名前から「どんな人だったのだろう」と偲ばれることがあるかもしれない。

悲しいニュースを目にするたび、「こんないい名前をもらって生まれてきたのに」と残念な気持ちに浸ってしまう。
輝く子、元気な子、人の上に立つ子、思いやりのある子、素敵な子、可愛い子・・・、そして、海・風・樹木・花・季節・彩・・・。
ニュースのテロップで流れるためにつけられたのではないのになと。