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糾命の連鎖

俺と後輩がパソコン画面に向かって仕事をしているところから始まる。
誰が見てるわけでもないが、流れているニュース。

後輩がテレビ画面を見ながら、一人ごとのように
「平和ってこういうことなんすかねー」と言った。
俺は、「ん?」と言い、どんなほのぼのしたニュースかと思い、テレビ画面に目を向けてみると、「スーダン情勢悪化、日本人避難」とのニュースが目に入ってきた。

後輩はすでにパソコンに向かい、作業を始めていたが、後輩に「いや、平和ではないだろう、むしろ逆だと思うけどなー」と伝えた。

後輩はパソコンに目を向けながら、「確かに人の命が関わることだし、平和とは一概にには言えないかもしれないです。でも一人の勇気ある行動から人の命を救える世界もあるんじゃないですかね」と言った。

なんか後輩、アツくなってるな、前々からちょっとサイコパス気質あったし、戦争とかそういう話詳しいんかなー、んー、でも多くの人の命も奪われているし、平和とは違うような気がするんだよなー。
「確かにそうかもしれない、フランス革命だって、黒人解放運動の南北戦争だって、大政奉還だって、最初は勇気ある一人の行動から、結果として平和を手にしたことはわかる。でも今のニュースは真っ只中だからなー」と伝えた。

後輩はさらにアツくなり、
「先輩何言ってるんですか、結果とか、目的とかそんなの関係ないでしょ、目の前で助けを求めている人がいたら、あれこれ考えず助けりゃ良いんですよ!
大きく考えてとかね、結果がとかね、そういうことを難しく考えすぎるから、目の前に助けを求めている人がいても、咄嗟に動き出せないんですよ!」と言った。

確かにそうだ、目の前の人が助けを求めていたら、動き出せば良い。
「言いたことはわかった。でも俺はやっぱり戦争を平和とは言いたくないんだ。」

ポカンとした顔をした後輩が
「先輩、なんで戦争が出てくるんですか、さっきのニュースの、一般市民が倒れている人に心臓マッサージとAEDをして、一命をとりとめたニュースの話しだったじゃないですか。」

あ、そうだったんだ。

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