11 からりと
始まりがいつだったか、覚えていないんです。
徐々にだったかもしれないし、ある日急にだったかもしれません。
あの子が嘔吐をくりかえすようになりました。
最初は、またがっついて食べるからだ、と笑っていたんですが、回数が増えてきて、なんだかこれはおかしい、と思うようになったんです。
でも、おかしいと思いながらも、心のどこかでは、十年以上生きたんだから、そろそろかもしれない、と思っていました。
今日みたいに、からりと晴れた日でした。
嫌がるあの子をケージに入れて、病院へ連れて行きました。
あの日の嫌がり方は、すさまじかったです。おもちゃもだめ、マタタビもだめ、追いかけても逃げる、捕まえてもすりぬける。人間の身体能力が、いかに動物より劣っているか、痛感したものです。
なんとか病院へ連れて行き、そこで言われました。
「家で飼う猫の寿命ですね。腎臓が悪くなっています」と。
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