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役割と責任 それぞれの立場で


置き土産

関東リーグ終了からおよそ1ヶ月経った10月の頭、2部の2位との入れ替え戦。
来年も1部で戦うためにただ勝ちを目指すのではなく、1部リーグで戦い続けるにふさわしいチームであるため、4年生は9ー0での完全勝利必要目標にして最低限の目標とした。

”自分たちこそ王座に挑戦するに相応しい、と力の差を見せつける。誰ひとりとしてつまづいてはいけない。” 

9ー0にはそんな意味が込められている。
そのための準備は選手だけでなく、僕たちボーラーを含むサポーター組も万全を期した。

迎えた入れ替え戦。まずはダブルスで3ー0と順調な滑り出し。4年生になってからは、この入れ替え戦が唯一の出場となったS田さんもきっちり勝利をあげた。シングルスでも、1ヶ月前の1部リーグでは調子を落としていたT内さんや同期のT中に代わって出場したあのH田さんの活躍もあった。
シングルスも6ー0と1つも落とすことなく計9ー0の完勝。来年も1部リーグで戦う権利を得たのだ。

この入れ替え戦をもって、この年のリーグ戦は終了した。
4年生を中心に全員で繋いだ1部リーグで戦う資格。出場選手の戦う姿、応援するサポーターの声、ボーラーをしながらそれらの一体感を感じた。

4年生は卒業後、全員就職する。テニスで生きていくわけでもないのに、選手としては大学で終わりであるのに、なぜここまでやれるのか。それは僕の知る由ではなかった。が、毎試合、目の前の一戦に全てをぶつける姿はとてもかっこよく見えた。



役割

ボーラーはただ練習中、試合中にボールを拾うだけではない。試合会場に荷物を運んだり、買い出しをしたり、試合間のクーラーボックスの詰め替えをしたりなど、やるべきことが多かった。
選手が試合に集中できるよう、また試合にスムーズに入れるよう準備しておくのが、僕らの役目だった。それにも関わらず、初戦ではそれらの準備不足で選手に迷惑をかけてしまった。ドリンクが足りない、入れるものが違う、詰め替えが遅い、など挙げればキリがない。試合するのは選手だから、という自分の気持ちが準備を疎かにさせた。
当然ながら、初戦の後のミーティングでは怒られた。
本来であれば、準備の全ては1年生だけで行えるようにしなければいけない。そのための事前準備も念入りでなければならない。ただ、自分の意識が低かった。結果的に、4年生の先輩まで準備を手伝わせてしまった。自分はやるべきことをやっているつもりでも、実は全く役割を果たせていなかったことは悔しい。

団体戦におけるサポートする立場の役割と重要性を嫌というほど感じたと同時に、チームの中での役割にはそれぞれ責任があるのだと学んだ。



客観的

僕はリーグ戦の期間、ただボールを拾っていたわけではなかった。
怪我、手術、リハビリ、リーグ戦とテニスができない期間が約4ヶ月続いた。こんなに長い間テニスをしなかったのは初めてだ。その間は人のプレーを見ることしかできない状況の中で、以前は人のプレーを見ることに興味のなかった僕も、プロの選手はもちろん、同じ年代の人のプレーをよく見るようになった。
見るというのはただ眺めるだけのことではなく、打ち方や戦術などの良し悪しを分析すること。あるいはその中でこれまでの自分のプレーを客観視し比較すること。
今までは他人のプレーから学んだことを自分のプレーに活かすようなことはしてこなかった。しかし、高校まで教えてくれていたコーチがいない状況の中では、自分のコーチは自分だけ(もちろん大学のチームにも監督、コーチはいましたが)。特に自分が苦手とする部分に関しては、プロ、アマ問わずいろんな人のプレーを参考にした。そして、他人から学んだプレーを自分のプレーと足して、その中で必要ない部分を削ぎ落としていく。
また、自分のプレーを客観的に見ることは、相手からどう見えているのか、そのプレーの選択が正しいのか判断がつくようになった。同時に自分の強み、弱みも自覚することができた。
これがきっかけとなり、テニス自体が高校の時に比べて少し大人になったような気もする(他人から見ればそんな変わらんやん、と思うかもしれないが)。その成果は、また今後のエピソードで書いていくが。リーグ戦後からの残り3年のテニスは、確実に他人のプレーから学んで得たものが大きく影響している。

テニスができない4ヶ月間はいいきっかけとなった。ただ練習することが上達につながるわけではない。一度その場から離れてみることで、また違った考えや感覚、景色が見えてくる。思いもよらない怪我から始まったこの期間は、それを確かに自分で実感できた期間であった。



次回

リーグ戦終了と同時に入部から約半年が経った。4年生の引退で代交代。ちょうど区切りが良いのでテニスから少し離れてみようと思う。
そんなことで次回は、4年間住み続けた寮について書いていく。


それでは。

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