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コミュニケーションをケチることで生まれるリスクとは

就職や転職、社内異動など、4月はもっとも組織が変わるタイミングです。
皆様も春から新たなメンバーとともに働く方も多いのではないでしょうか。

新しい人が入ってくるというのは、組織に新鮮な気持ちをもたらしてくれるものです。入社される方の活躍を楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。

入社してしばらくは、まるで結婚したばかりの夫婦のように、入社した側も、受け入れた側もお互いに対する期待感から相手に好意を持って接することが多いように思います。

しかし、時間を経るにつれ、何か期待していたイメージを裏切るような発言なり行動を目にしたりすることで、徐々に相手のやることに対して好意的に受け取れなくなっていくということがあります。

人は、普段コミュニケーションをはかる中で、「自分もそう思う」というような考え方を相手もしてくれていたり、共感するポイントが多かったりすると、その人の仕事ぶりを好意的に受け取ることができるようになります。これを「類似性効果」と言います。

もう一つ、相手との好意的な関係をつくる上で重要なのは単純に接点の回数です。これを単純接触効果と言います。

yahoo社で1on1を推進されている本間さんは、1on1は回数が大事と言っていますが、社内におけるコミュニケーションの頻度や量が多い職場であればあるほど、社員相互の好意の総量が増えていきます。

最近、リモートワークも随分普及しましたが、タスクレベルでの生産性は上がることもある一方で、上記のように、職場のメンバーに対して好意を持てる機会という意味ではマイナスの影響が起こりやすくなることには注意が必要だと思います。

というのも職場の問題は、コミュニケーションをケチることによって生じる誤解や疑心暗鬼から生まれることが多いと感じるからです。

相手が「さぼっている」と思えば報告を義務付けたくなりますし、ルールを厳しくしたり、指示命令を強めたりと、コストがかかることになります。

一方で、コミュニケーション量が多ければ、不要ないざこざや摩擦は比較的生まれにくく、不必要に管理することも減ります。

また、相手に対してそもそも印象が悪いと、先ほど記載した単純接触効果も
相手の行動や発言を見て、悪い意味で「やっぱりそうだ」と思えることばかりが無意識に目に入るようになり、相手との関係性は冷え切っていきます。

ちなみに修復不可能になる瞬間とはどういう時だと思われますでしょうか。
大抵、”いわれのない悪意を向けられた”であるとか、”そんなつもりがないのに意図を悪くとられた”と感じた時など、自分のことをこの人は信用してないんだなと感じたり疑われた時に、人の心は決定的に離れていきます。

「やっぱりそうだ」という捉え方をして相手とコミュニケーションをしていると、相手との関係を決定的に悪くする出来事が遅かれ早かれ起きてしまいます。

一度そうなってしまった人間関係を修復するのは極めて難しいというのが
私が多くの組織を見て感じていることです。

こうしたことを防ぐために、コミュニケーションコストをケチらず、お互いが相手を好意的に捉えれれる関係性をメンテナンスしておくことが大事です。直接的に業績に関係ないようでいて、実はとてもインパクトがあります。

ちなみに、リクルートにいたときに、すごく効果的だったなと思うのは、
飲み会の後に皆でカラオケで騒ぐということでした。
基本恥ずかしがり屋なのですが、先輩方が率先して馬鹿をやってくださって、一緒に巻き込まれて騒いでいると、仕事では厳しいことを言われた相手であっても、「ああこの人は悪い人だったり自分のことを嫌っているのではないんだな」と思えてくるということがありました。

人は相手をどう捉えているかがものすごく重要です。
相手は肯定的な意図をもって発言していると思えないと、厳しいことを言われても受け取ることができません。

同じことを言われても、そのことをどう捉えるかというのは、相手自体に対しての信頼がベースになります。何かトラブルがあって疑いたくなるようなシチュエーションであっても、何か考えがあったのかもしれないとまず相手を信じることもできます。

信頼をベースにマネジメントすることは、少し青臭い理想論のようにも思えます。ですが、それで片づけてしまうのはもったいなく、生産性を向上させる戦略的なアプローチにできるとよいと思います。新たな関係性が始まる春に、ぜひ意図的にコミュニケーションの機会を見直してみられてはいかがでしょうか。

また来月もよろしくお願いいたします。

2022/3/26 VOL137                                                                                    sakaguchi yuto

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