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(実況中継)減損会計①

財務会計の計算問題を実況中継していくマガジン
今回は、減損会計に関する問題を実況中継してくよ。
では早速、問題を見ていこう。

問題

当期の機械装置の減損損失の金額を求めなさい。

前提条件
・当期末において機械装置に減損の兆候あり。
・機械装置の残存価額は、取得価額の10%。
・定額法にて減価償却を実施。
・適用する割引率は、5%。

解説(実況中継)

減損損失の金額を求める問題だ。
減損会計では、必ず次のステップで計算してほしい。
出題者は、ステップを飛ばして解くと間違えるように問題を作るからね。
①どの資産に減損の兆候があるか
②兆候ありの資産について、どの資産の割引前将来CFが帳簿価額を下回るか
③減損損失を認識する資産について、回収可能価額を計算する

では、早速問題を見ていこう。
ステップ①減損の兆候に関して、今回は全部ありだ。

続いて、ステップ②割引前将来CFが帳簿価額が下回るかに関してみていこう。
まずは、帳簿価額が必要だから、機械装置A~Cの帳簿価額を求めよう。
機械装置Aの減価償却累計額は、
取得原価1,000,000千円×90%×2年÷5年=360,000千円となるから、
取得原価1,000,000千円-減価償却累計額360,000千円=帳簿価額640,000千円となる。

同様に、機械装置Bと機械装置Cの帳簿価額は、それぞれ530,000千円と690,000千円となる。
帳簿価額はOKだね。

次に、割引前将来キャッシュ・フローを求める。
機械装置Aは、将来CF150,000千円×3年+処分価額80,000千円=530,000千円となる。
機械装置Bは、将来CF100,000千円×5年+処分価額60,000千円=560,000千円となる。
機械装置Cは、将来CF170,000千円×4年=560,000千円となる。

ここまでで、それぞれの帳簿価額と割引前将来CFが求められたので、減損損失を認識する必要があるかどうか判定していこう。
機械装置Aは、帳簿価額640,000千円>割引前将来CF530,000千円だから減損損失を認識する必要がある
次に、機械装置Bは、帳簿価額530,000千円<割引前将来CF560,000千円だから減損損失を認識する必要はない
最後に、機械装置Cは、帳簿価額690,000千円>割引前将来CF680,000千円だから減損損失を認識する必要がある
機械装置Bは、減損損失を認識する必要がないので、ここでおしまい。

最後のステップは、③減損損失の測定のステップだ。
まず、機械装置Aから、割引現在価値を求めていこう。
1.05÷÷150,000 M+ M+ 230,000 = = M+ MRで、477,594千円と求まる。
ここで、現時点における売却可能価額は、500,000千円だから、
回収可能額は、500,000千円となる。
現在価値を計算して、安心して正味売却価額との比較を忘れないように。
したがって、減損損失の金額は、
帳簿価額640,000千円-回収可能価額500,000=140,000千円

続いて、機械装置Cの割引現在価値を求める。
1.05÷÷170,000 M+ M+ M+ M+ MRで602,812千円。
正味売却価額は、売却可能価額610,000千円から売却費用15,000千円を控除して、595,000千円となる。
割引現在価値の方が正味売却価額より大きいので、回収可能価額は割引現在価値の602,812千円となる。
したがって、減損損失の金額は、
帳簿価額690,000千円-回収可能価額602,812=87,188千円

以上から、答えは、227,188千円。
(機械装置A140,000千円+機械装置C87,188千円)

すんなりと解けたかな?
ちなみに、僕は次の表の数字部分のところだけメモしたよ。

さらなる解説

減損処理の手順は、下記のステップで行うこととされている。
①減損の兆候
②減損損失の認識
③減損損失の測定

何度もいうけど、必ずこのステップでやってほしい。
出題者は、次のような計算ミスを想定して、意図的に数値を作るはずだ。
・減損の兆候がない資産について、減損損失を計算してしまう。
・減損の認識をする必要がない資産について、減損損失を計算してしまう。
例えば、今回の問題で機械装置Bについて、③減損損失の測定のステップを計算してしまったとしよう。そうすると、割引現在価値は479,959千円、正味売却価額は490,000千円と計算されて、回収可能価額は490,000千円、減損損失は40,000千円と算定されてしまう。
これは間違いだし、時間のロスにもなる。
だから、絶対にステップ通りに解こう。

また、出題者が出したい組み合わせは、こんな感じだと思う。
・兆候なし⇒誤って計算すると減損損失が計上される。
・兆候あり、かつ、減損損失の認識の必要なし⇒誤って計算すると減損損失が計上される。
・兆候あり、かつ、減損損失の認識の必要あり⇒割引現在価値が回収可能価額となる。
・兆候あり、かつ、減損損失の認識の必要あり⇒正味売却価額が回収可能価額となる。
今回は、1番上のもの以外は出題されているわけだね。
この辺は、念頭に置いておくといいと思う。

あと、ありがちなミスとしては、回収可能価額の決定に際して割引現在価値と正味売却価額の比較を忘れるというもの。
相対的には、割引現在価値の計算の方が大変なので、これを計算したところで安心してその金額を使ってしまうというミスがありうる。
こうしたミスを防ぐような意識やメモの方法などを普段の学習時に工夫して見つけておこう。

まとめ(チェックポイント)

・固定資産の減損処理の手順を説明できるか?
・正味売却価額とは、どのような金額か説明できるか?
・回収可能価額とは、どのような金額か説明できるか?



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