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(実況中継)有価証券の評価①


財務会計の計算問題を実況中継していくマガジン
今回は有価証券の評価に関する問題を実況中継してくよ。
では早速、問題を見ていこう。

その他有価証券評価差額金の金額を求める問題です。
まずは、最初に全部純資産直入法部分純資産直入法かをチェックしよう。

そもそも全部純資産直入法と部分純資産直入法を正確に覚えてる?
ここをざっくり覚えていてはダメ!正確に覚えよう。

全部純資産直入法:評価差額(評価差益及び評価差損)の合計額を純資産の部に計上する方法
部分純資産直入法:時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額(評価差益)は純資産の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額(評価差損)は当期の損失として処理する方法

つまり、全部純資産直入法では評価差益と評価差損を区別しないでトータルで考える。
一方で、部分純資産直入法は評価差益と評価差損を区別する。
部分純資産直入法では、評価差損はPLに有価証券評価損として計上されるよ。これは、保守主義による考え方と覚えておこう。

これを踏まえると、今回の最も手数の少ない解き方も変わってくるね。
今回は全部純資産直入法だから基本的にはトータルで考えればいい。
D社株式がX1年に評価減されるから、これだけ除外するというのが最も早い解き方だね。
X1年度末の評価差額金は、D社株式分を除いて
(5,400-700)-(6,100-1,500)=100
X2年度末の評価差額金は、D社の評価減分を除いて
(5,300)-(6,100-(1,500-700)=0
以上から、①は100、②は0となるね。

今度は、部分純資産直入法だったらどうだろう。
銘柄ごとに見ていく必要があるね。
X1年度末の評価差額金は、評価益のでているものだけ集計すればいいから、
C社株式の評価益200とF社株式の評価益100の合計で300だね。
全部純資産直入法と200の差異があるけど、この200はE社株式の評価損の分になるよ。
X2年度末の評価差額金は、C社、D社、F社株式は評価益だから、これを集計して500となる。
E社株式はまた評価損で△300はPLに計上されるよ。

より正確にミスなく解くにはどうしたらいいだろうか?
全部純資産直入法では、トータルで考えればいいと書いたけど、それぞれの銘柄ごとに論点があるのが通常だから、結局のところ個別銘柄ごとに見ていく必要がある。
メモとしては、問題用紙の表の横に銘柄ごとの評価差額金の金額だけ書くっていう方法もありだと思うけど、部分純資産直入法で取得原価が変わってしまった場合などには誤った取得原価と比べてしまってミスする可能性があるかなと思う。
なので、メモとしては、各年度の銘柄ごとの取得原価と時価との差額をこんな風に書いておくのがいいかなと思う。

まとめ

  • 今回のチェックポイントは、「全部純資産直入法と部分純資産直入法を正確に理解しているか」です。

  • 評価減のある場合やその他資本剰余金からの配当があった場合などに取得原価が変わるので、時価と比較する取得原価はどの金額なのかということを意識して問題を解こう。

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