仕事のできない人格者?

大学生の就活イベントのMCの仕事を始めてから数か月が過ぎた。
就活をしていると、様々な不安にぶち当たることもあるだろう。社会に出るということは、学生時代のアルバイトとはわけが違う。
いい機会なので、学生諸子(もちろん、いますでに社会人として活躍している読者諸氏も含めるが)に、心に留めておくと、つらい時に少し心が楽になるかもしれないことをつらつらと書いてみようと思う。内容は雑談の域を出ないので、リラックスして読んでほしい。

会社には、デキるやつとデキないやつがいる。上司でもそうだし、同期でも後輩でもそうだ。そのフィールドは、仕事、懇親の場、プライベート、趣味の場など多岐に亘る。ひと口に「仕事」と云っても、担当分野(いわゆる本分)のほか、経理処理、ホウレンソウ、後輩や先輩との接し方、同業他社への対応など様々だ。プライべートでも、家族、友達、恋人など多くの関係性がある。

これら全てで「デキる」人になることなんて不可能なんだ。まずはこれを念頭に置くこと。
私、稲垣が10年籍を置いたNHKは、所謂エリートの集まりとされている。実際、取材相手から「天下の」NHKという枕詞を付けて呼ばれたことも数えきれない。(それに、単純に尊敬の意味を込める人もいるが、軽侮や嘲りの意味を込める人もいることは付け足しておく)
しかし、である。

・仕事はめっちゃできるのに社内では嫌われてる人
・男の同僚や上司からの評判は良いのに同性からの評判が最悪な女
・仕事は月並みだけど、素敵な家庭やパートナーを持ち、趣味に打ち込み、生き生きと生きている人
・仕事はバリバリ、家庭はグダグダ
・社内での評判はイマイチなのに、営業成績が良かったり他社との関係が良い人
・仕事はできるが女やお金が絡むとからっきしダメな男

など、まあ色んなタイプの人がいたのである。
斯く云う稲垣はどうだったのかというと、仕事はザ・普通。むしろあんまりガツガツやっているほうではなかったと思う。ご迷惑をかけた上司、先輩にはこの場を借りて謝りたい。すんませんでした。ただ、経理処理などはしっかりとやっていた自負はあるし、そういう意味で総務系の人たちを困らせたことは少なかった・・・と思う。できない人は本当にできない。そして、人に迷惑をかけているという自覚がない。

俺が嬉しかったのは、後輩のT記者が「上司にするなら稲垣さんみたいな人がいいです!」と云ってくれたことである。自慢に聞こえるが、前段に私が「俺は仕事ができないから、その分ほかのところはちゃんとやるし、後輩とかにも気を配るようにはしている」という話をしていて、「仕事ができない」を明確に否定しなかったT記者が次に継いだ言葉なのである。彼も「この人仕事はしないけどいい人なんだよな」くらいに思っていたのだろう。
T、俺は傷ついてないから大丈夫だよ。

NHK内では、「人格者」という言葉が好んで使われていた。人柄が良い上司を指す時などによく出てきたのだ。「仕事はできるけど疎まれる」「仕事はぱっとしないけど人格者」・・・。
どういうタイプを目指すかは人それぞれだが、全ての面において成功・羨望は得られないと思ったほうがいい。八方美人になれば、それはそれで、そういう性格を疎むやつが必ず出てくるもんなのだ。

一匹狼タイプ、仲間と何かを成し遂げることに喜びを見出すタイプ、人を支えることに意義を見るタイプ、いろいろあるだろう。
仕事がうまくいかなくても、仲間に迷惑をかけることはしない、常に感謝は忘れない。そういう、何かしら自分の芯を持って働いていれば、いつか報われる時も来る。見てくれる人は見てくれている。そんなふうに思ったりするのである。

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