【小説】愛着障害児日記 4.今日は性のお話
みんなは、お父さんと一緒にまだお風呂入ってる?
私は、ぼうと一緒にお風呂入ってるよ。
でも、最近おっぱいが大きくなってきてて、
ちょっと恥ずかしくなってきたかも。
男の人には、到底理解されないんだけど、
今時の女の子はおっぱいが超絶痛いの!
硬く張ってる感じ。
それなのに、ぼうは、
そのことをちっとも分かってない。
この前、ぼうとベットでくすぐり合って
イチャイチャ遊んでたら、
ぼうの急所をこちょこちょしてしまったみたいで、
「そこは……、玉だ。」
って言われちゃった。
なんかすごく気まずくてさ、
「ごめん」
って謝った後、気まずさの沈黙の末、
眠っちゃったんだよね。
そしたら、ぼうが私の胸を揉み始めて!
本当に痛くて、
「痛いからやめて」
って言ったらさ、
「恥ずかしい? 」
って聞かれたの。
意味がわからないって…。
恥ずかしいってどういうことだったんだろう。
実はさ、
それ以降、私が寝静まった後、
ぼうが夜な夜な私の下の部分を
触りにきてる気がするんだよね。
でもさ、
これってなんかいけないことな気がするし、
恥ずかしくて、誰にも話せてない。
そんな中、冬休みに、
ぼうがトラックで一泊かけて遠征するから、
助手席に座って一緒に行かないかって
声がかかったんだ。
私は、どうせ暇だしと思って、楽しみ半分、
そういうえっちな雰囲気になったらどうしようの
不安半分だったけど、
行ってみることにした!
これは女の勘なんだけど、
うちのお母さんが、「ピヨちゃん」って言う人と
浮気してるっぽいんだよね。
いつもはお母さんの携帯見ても怒らないのに、
「ピヨちゃんって人からメールきてるよ」
って言ったら、
癇癪起こしてて、
「人の携帯を見てはいけないよ。
ゆうみだって、交換ノート見られたら嫌でしょう?
一緒だよ? 」
って怒られちゃった。
こんなにむきになっちゃって、
すごく怪しいし、
お母さんと「ピヨちゃん」との間には
何かあるなと睨んでるんだけど、
ついに、この前、
お母さんは、深夜3時に私一人を家に残して、
(ぼうはトラックの運転手で夜勤務だから
夜の時間帯は家にいない)
お母さんは、迎えにきていた車に乗って
どこかへ行ってしまったのだ。
それで、朝、スーパーに行った風を装って、
買い物袋をたくさん持った母親が帰ってきた。
「ピヨちゃん」と夜のデートでも
していたのだろうか。
その浮気がぼうにバレたのか、
真相は私には到底わからないが、
朝、お母さんがシャワーから上がった後、
裸のまま、
ぼうと電話で話しながら泣いていたんだ。
お母さんをかわいそうだと思うことは
できなかったよ。
そんなこともあり、
お母さんとぼうの関係はギクシャクしている。
ぼうは、精神的に参っているのか、
今うちの風呂釜が横一直線に割れている。
ぼうが怒りに任せて殴ったとしか考えられない。
だから、ぼうも寂しい思いをしていて、
ぼうも一人で遠征だと、
お母さんの浮気が気になって辛いのかな。
だから、私をトラック遠征に誘ったのかな
と思った。
だから、何も知らない風を装いながらも
ついていくことにした。
私は、一年生のとき、
血のつながったおじいちゃんと
一緒にお風呂にはいっていた時に、
性器を手で広げて見せてくれ
と頼まれたことがある。
「やだ」と断ったら、
「じいちゃんのも触っていいから」
と言われた。
私は微塵も触りたくなかったのだけど、
おじいちゃんが触って欲しそうだったから、
2回ほど指でツンツンしてあげた。
おじいちゃんは嬉しそうだった。
「このことは誰にも言ってはいけないよ」
と口止めをされた。
だけど、おじいちゃんの家から、
自宅に帰る途中の車の中で、
私は、過呼吸になるほど号泣してしまった。
心配する母親に、一切を打ち明けてしまったのだ。
「おじいちゃんに性器を見られて触られた。
内緒にしろと言われたけど、
本当は嫌だった。やめて欲しかった。」
そのことに対して、お母さんは、
本気で怒ってくれた。
母は私の味方なのだと心強く感じられた。
だけど、今はどうだろう。
6年の時を経て、
今は、ぼうに体を触られること、
平気になったのだろうか。
いや、平気ではない。
でもどうしたらいいのかは、さっぱりわからない。
でも、もう12歳。
6歳の頃に比べて大人になった。
平気なフリ、我慢、できるようになった。
自分で自分を守れるようになった。
何があっても大丈夫。
トラック遠征、楽しむぉ!!!
つづき
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