債権者集会

倒産した出版社から未払い印税を回収した話(6)

写真やイラスト、資料の返却の問題も

 F書房から出版された私の単行本について、いくつかの出版社が再版や文庫化を打診してきていた。しかし、単行本で使用された写真やイラスト、資料は返却されていなかった。債権者集会でも、「フリー」の何人かが「写真などを返却してほしい」と要請し、弁護士が「今は印刷会社にある」と答えていた。

「フリー」にとり、写真などは財産。これらが未返却なのは、報酬が未払いなのと同様、重要な問題だった。

 未返却の写真のうち、ネガがあるものはいいが、プリント1枚しかないものもある。イラストが返却されなければ、改めてイラストレーターに描いてもらうしかない。資料の中には、2度と入手困難なものもあるのだ。

 2002年12月、私はF書房の弁護士に電話したうえで、以下のような質問事項をファクシミリで送った。

【1】著作に使用された写真、イラスト、資料等、素材が返却されておりません。これらは返却可能であるのか、もし、返却不可能である場合、その責任は誰に帰すのか、お答えください。なお、印刷会社(原文実名)によれば、「F書房(原文実名。以下、同じ)に返却されているはず」ということです。

【2】私は著作に関する印税の未払い分、25万4000円を債権として持っております。この全額につき、お支払いいただきたいと考えますが、可能ですか。私がこれにこだわるのは「公平性の確保」が重要だと思うからです。この25万4000円は労働債権にほかならず、F書房の社員らの労働債権が保護されたのですから、同様に保護されるべきと考えます。また、「回収諸費用」(弁護士報酬を含む)が不透明かつ高額であることと比べても、公平性が確保されているとは言い難いと思います。この点については、○○(原文は弁護士の実名。以下、同じ)さんが私に宛てたファクシミリ(1997年3月26日付)で「小口債権をどうするかは、債権回収がある程度できた後、検討致したく存じます」と書かれていたので、期待しておりました。

【3】上記【1】【2】の点につき、満足な回答が得られない場合、任意整理の進め方に数々の疑問を感じますので、○○弁護士会(原文実名)の綱紀委員会に調査を依頼するなど、積極的な対抗手段をとりたいと思いますが、それまでの期間はどのぐらい必要ですか。これは債権者集会(1996年10月23日)でも問題視されていましたが、○○さんらがF書房(債務者)の代理人でありながら、私ら債権者から「委任状」を提出させようとしたことは、無知な債権者を欺き、双方代理を企図していたと疑わざるを得ません。

 以上、調査、ご検討のうえ、ご連絡ください。

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