【30歳からの読書感想文】 FACTFULLNESS “まあ落ち着いて考えようぜ”


読書感想文なんて中学生以来やってなかった自分が、理解を深めるためにアウトプットしてみたシリーズ第一弾。

この読書感想文シリーズは調べればわかることを極限まで省き、自分が本から学んだことをなるべく簡潔にまとめることに特化しています。

今回はハンス・ロスリング著 FACTFULLNESSについて書いていく。

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[最初に]

この本では10個の人間の本能からくる思い込みをデータと共に解説していき、いかに人々がアホで無知なのかを教えてくれる。

わけではない。

むしろ逆だ。これらの思い込みはあるけれど、この思い込みを少なくしていけばきっと世界はもっと輝いて見られるんだよというとても優しく、そして強さも感じられる内容となっている。そしてなによりこのコロナの状況下ではなによりも大切かつ持っておくべき能力であると感じた。

目次
①10個の人間の本能と思い込み
②3つのキーワードで表すFACTFULLNESS
③コロナ禍におけるファクトフルネスの実践
④おわりに

①10個の人間の本能と思い込み
まず著者のハンスローリングは人間には以下の10個の思い込みがあると提起している。
1 分断本能 【世界は2つに分けられがち】
2 ネガティブ本能 【世界や状況はどんどん悪くなっていると思いがち】
3 直線本能 【この数はこのまま増え続けると思いがち】
4 恐怖本能 【恐ろしいものには自然と目がいってしまいがち】
5 過大視本能 【ある数字や事実に衝撃を受け過ぎてしまいがち】
6 パターン化本能 【ひとつの集団を一元化してしまいがち】
7 宿命本能 【全ての物事は運命的に決まってると思いがち】
8 単純化本能 【世界はシンプルだ!と思いがち】
9 犯人探し本能 【犯人はお前だ!と推理しがち】
10 焦り本能 【いつやるか、今でしょ!と思いがち】

この10個の人間の本能を回避し、思い込みなく世界を見る能力がFACTFULLNESSだ。

それぞれの本能がいかに思い込みを呼びんでいるかを、質問とデータと実例で詳しく解説しているのがこの本のコアとなる部分となる。しかし詳しい解説やデータを見せるのは著者にお任せしたい。だってとてもわかりやすく書かれているから(ただのめんどくさがり)

[3つのキーワード]

この本を自分的に3つのキーワードで表すと

・感情的にこうだと決めつけず論理的に考えることをやめるな
・世界は思っているよりもずっと良くなっている
・物事を1つの視点ではなく色々な視点から見ろ

と表せる。

・感情的にこうだと決めつけず論理的に考えることをやめるな

ちょっとこの本からある質問を抜粋してみる。

質問:世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう
A 低所得国
B 中所得国
C 高所得国

答えはBの中所得国。おそらくだけど日本人だとAの低所得国だと答える人が多いのではないだろうか。子沢山のアフリカの家族の映像、高所得国の少子高齢化問題についてテレビでよく触れるからだ。(ちなみに実際の日本人の正答率は24%)

この本を読んだ後だと、そもそも低所得国=アフリカということすらも間違いなのだけど、人はインパクトのある映像や数字を見せられるとそこで考えることをやめがちになる。そこからさらに調べようとしたり他のデータや情報と比べることをしない。こういう本能を抑えられないといつまでたってもアフリカは低所得国だし自然災害で亡くなる人は増え続けるし男女は不平等のままだ(その人たちの頭の中では)。

何かの問題や出来事について、まずはそれを素直に受け入れる前に考えることが大事。考えることをやめるな。

・世界は思っているよりも良くなっている

質問:世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどれくらいでしょう
A 20%
B 50%
C 80%

答えはCの80%。この問題では選択肢が与えられているからまだ良いけど、選択肢がなければかなり難しい質問だと思う。
世の中に名前が知られていない人の努力と、様々なデータや経験から作られた社会システムのおかげで今や1歳児の80%が予防接種を受けることができている。別の見方をすれば20%の1歳児が予防接種を受けられていないが、その悪い数字だけをみることは過去多くの人々の努力を無視してしまうえげつない行為だ。

『良くなっている』と『悪い』は一緒に起こり得る

ネガティブな数字や出来事に引っ張られがちだが、世の中でニュースになるのは実際そういう出来事が多いことを知ろう。世の中では良い出来事はいっぱい起こっている。ニュースになりづらいだけだ。

・物事を1つの視点だけでなく色々な視点から見ろ

健康と所得に関するグラフを見て放ったキューバの厚生大臣のことば
「キューバ人は貧乏人の中で1番健康だ!」
同じグラフを見て放ったキューバの若者とのことば
「キューバ人は健康な人たちの中で1番貧乏なだけ」

自分はこういう考えをしているからみんなこういう考えなんだ

って考えは正しくないと誰もが言えると思う。でも人々は自分の視点こそが正しいと本能では思いがちだ。
たとえば貧困を解決するためにその国にお金を直接あげることは果たしていちばん効果的なのだろうか。病気を治すには症状を抑える薬を飲むことがいちばん効果的なのだろうか。そうとは言えない。貧困の原因はお金がうまく行き渡らないからかもしれないし、その病気はその環境にいるから苦しいのかもしれない。

その道の専門家ですら答えを知らないことがあるのだから、物事を1つの視点から見ることをやめよう。

またある問題が起こったときに犯人探しすることをやめよう。その瞬間人々は考えることを止めて犯人探しにやっ気になる。目的はその犯人を責めることや罰することじゃない。その犯人がわかったところでもっと物事は複雑だ。それよりもその物事の背景にある原因や仕組みを理解すること。

[コロナ禍におけるファクトフルネス]

なぜ[はじめに]でも書いたがなぜこの本がこのコロナ問題の中で重要なのだろう?
ハンス・ロリングは2018年に書かれたこの本の中で感染症の流行についても危惧していたけど、今の状況でもこれらの本能は発揮されている。

ここまで読んでくれたのなら少しは感じるのではないだろうか?

・本当に日本のコロナ患者数は他国と比較して少ないのか
・コロナ患者を犯人扱いして満足していないか
・世界や日本のコロナの状況はどんどん悪くなっているってそれは本当?
・本当にアベノマスクの効果はなかったのか
・果たして自分は感染者じゃない、とどうして専門家でないのにわかるのか

日を追うごとに感染者数が増減したり世界のショッキングな状況が目に入ったり、政府の対策にヤキモキしたり、逆にGW明けには良くなっているだろうと思ったり…

あなたのその考えは果たしてどのデータを元にしているのだろうか?そのデータは何かと比較したのか?本当に思い込みじゃないと果たして言えるだろうか?

著者のハンス・ロリングは本の中でこう言っている。

数字がなければ世界は理解できない。けど数字だけでは理解できない。

もちろんインパクトのある数字や出来事を知りそれに対応することは生物としての生存本能の1つであるし、衝動的に動いてしまいそうになるのは仕方ない。

でもそんな本能を抑えなきゃこの状況は良くならない。常に考えて、謙虚で、好奇心をもちポジティブでいることが現状の理解を進める。誰か何かを責めるのではなくその背景や原因も考える。そうすると自分にも世の中を良くすることができると考えられるようになる。はず。

焦らず、落ち着いて考えよう

この状況下ではすごく難しいことを言うなーと思ったが、でもなによりも大事なこと。常に事実を正しく把握し、ネガティブにならないようにしたい。

[おわりに]

341ページにも渡るこの本を端的にまとめるのは相当難しかった…

そもそも世の中のデータをしっかり比較したり割合を計算したりし、それを元に物事をしっかり理解するっていうのが本質なので、本書に出てくる重要なデータや統計を無視してまとめることは少し矛盾している。

それでもこのファクトフルネスの実践はしていくべきだし、自分の中で理解を深めるためや、少しでも誰かにこの考えを知ってもらうためにもまとめようと思った。

分厚い本だけどすごく理解しやすい本。そしてこの流れの早い世の中で、これから起こるかもしれない問題に対応する能力を高められる本。

ぜひゆっくりで良いので読んでみてください。


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