見出し画像

Training Compensation(トレーニングコンペンセーション)とは?

Training Compensation(トレーニングコンペンセーション、略して"TC")は、FIFAが定める世界共通の制度であり、過去の育成クラブに対して支払われる育成金を指します。選手の契約期間内外に関わらず、その23歳誕生暦年の年末までに初めてプロ選手として登録、または、国際移籍が行われた場合、12歳~21歳まで選手を育てた育成クラブに対して、移籍先クラブが補償金を支払うルールです。

TCを理解する上でのポイントは、選手が「Ⅰ:アマチュアからプロに初めて登録される」のか、または「Ⅱ:プロからプロとして完全移籍する」のかの2パターンによって運用が異なる点です。

「Ⅰ:アマチュア選手がプロ選手として登録された場合」は、12歳~21歳までの各所属クラブに対して「基準額」(※後述)が支払われます。一方で、「Ⅱ:プロ選手がプロ選手として移籍した場合」は、直前の所属元に対してのみ、選手が21歳まで所属した年数に応じた「基準額」が支払われます。直前の所属元のみに支払われる理由としては、直前の所属元が選手をアマチュアからプロに登録した際に、過去の所属クラブに対する「Ⅰ:アマチュア選手がプロ選手として登録された場合」の基準額はすでに補償されているためです。

基準額は、移籍先クラブが所属する大陸のサッカー協会・国・リーグのカテゴリーに応じてFIFAが定める金額です。つまり、移籍先のレベルによって単価が異なるのです。例えば、世界で最もハイレベルなリーグのひとつであるスペイン1部に移籍した場合、12歳~15歳までの所属クラブには年間10,000ユーロ、16歳~21歳までの所属クラブには年間90,000ユーロが、所属年数に応じて支払われます。これが例えばスペイン2部では16歳~21歳までの単価が年間60,000ユーロ、ポルトガル1部では同単価が年間60,000ユーロ、ポルトガル2部では同年間30,000ユーロなど、異なる基準額が設定されています。(各リーグ、カテゴリーにおける基準額は下記ご参照ください)

例えば、東京ヴェルディに10歳~22歳まで所属(高卒の18歳からプロ契約)していた選手が、契約満了後であっても、22歳年度末にスペイン1部に移籍した場合、下記の通り、東京ヴェルディは約7,000万円をTCとして受け取る権利を保有しています。なお、この単価は、世界で最もレベルの高いリーグに適用されるものであり、イングランドやドイツ、イタリア、フランスなどの1部リーグに移籍した場合でも同様の金額となります。

・12歳~15歳まで 10,000€*4年間=40,000€
・16歳~21歳まで 90,000€*6年間=540,000€
⇒合計 580,000€(1€=120円換算で、6,960万円)

ちなみに、前述の通り、「Ⅱ:プロからプロとして完全移籍する」場合、TCは「直前のクラブのみ」に支払われますが、当該選手が「直前のクラブ」の下部組織の出身であった場合、その下部組織も「直前のクラブ」に内包されます。そのため、上記の例においては、プロ契約以前の10歳~17歳の期間もTC受け取りの対象となります。

※なお、実際の支払いは、基準額に所属期間の日数を乗することで金額を算出するものですが、本記事上では便宜上、日割り計算を省略し概算としています。


この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?