仁義なき犯罪アクションの傑作!Netflix韓国映画『楽園の夜』感想・レビュー【ネタバレほぼなし】
ここ最近、動画ばかりを上げていて、間空いちゃってすみません…(だって、動画作りが楽しすぎて笑)
久しぶりの感想記事です!
今回は…ダダン!!
待ってました〜(о´∀`о)!!
あの大傑作『新しき世界』パク・フンジョン監督の最新作であり、
Netfiix映画『楽園の夜』をレビューします!!!
とりあえず、もうね、
マジで面白いからみんな今すぐ観てくれいっ。頼むm(_ _)m!!
『楽園の夜』ってどんな映画?
ね、はい、予告でもう最高!
4月9日(金)から配信された本作、第77回ベネチア国際映画祭にも出品され、海外メディアからも軒並み絶賛されたらしいんですが、「な〜んだ、小難しいアート系ノワールなんか…」とか思ったそこのあなた…
ノンノンノンd( ̄  ̄)
なんたって、何度も言います。
ギャング映画の歴史に残る大傑作『新しき世界』や『The Witch 魔女』『V.I.P. 修羅の獣たち』など、血まみれスタイリッシュノワール映画の傑作を生み出してきた
パク・フンジョン監督
パク・フンジョン監督!!(これだけでも覚えて)
の作品なんですからっ!!
△とっても親近感あるビジュアルのパク・フンジョン監督。この人が作ったとは到底思えないんですが…
男たちの仁義なきマウント合戦
▼では、本作のあらすじはこちら
大切な者たちを殺された挙句、追われる身となった組織の構成員テグ(オム・テグ)は、逃亡先の済州島で心に傷を抱えた女性チェヨン(チョン・ヨビン)と心を通わせていくが、それはあまりに短すぎる平穏で……。
△Netfix公式ページより引用
ストーリの大筋は、ざっくりいうと、高倉健やイーストウッド主演作的なアウトローの逃避行ものなんですが、それ以上に、今作を特別な作品にしている要素が『新しき世界』でも魅力的に描かれていた、ヤクザな男たちのリアルなマウント合戦なんです!
その中でまず、主人公テグより先に推したいのが
テグのボス、キム社長
テグが所属するヤクザ組織の中に2大派閥、プクソン派とキム派があり、そのキム派を仕切ってる、わりと偉い人物なんですね。
冒頭、テグが事故で姉と姪を失い、その葬式に現れる初登場シーンでは、銀髪にスーツをバシッと決め込み、部下を引き連れて、焼香をあげる立ち振舞いに、どことなく吉川晃司っぽいダンディな見た目もあり、余裕のある大人な男なんかなぁという印象を受けます。
その後、テグが、キムから「事故を裏で仕掛けたのはプクソン派のトップ、ト会長だ」と聞かされ、怒りに任せて会長を暗殺してしまった際も、
逃亡先の済州島までの段取り手配や、さらに空港に見送りまでしてあげる、という手厚さに、優しくて手下想いの良いアニキやん( ´∀`)…と思いかけるんです、が…!
この物語序盤から
キム社長のメッキが剥がれ、株価が急暴落していきます。
その要因となるのが、もう1人の推しキャラ、マ理事
彼はもう一方の派閥、プクソン派を仕切っている人物なんですが
竹内力と渡哲也を足して2で割ったような感じで、見た目からめっちゃ怖いんです。
さらに、自分の手を汚さず、冷酷残虐な策略を巡らせて出世してきたタイプのカリスマで、自信に満ち溢れたギラッギラの悪な魅力を放ち、正直かなりかっこいいんですよね。(『スカーフェイス』ならアル・パチーノ、『アンタッチャブル』ならロバート・デ・ニーロ感)
序盤、ト会長暗殺を好機と見たキムが、プクソン派を潰すため、部下に彼らの事務所を襲撃させるんですが、このマ理事を取り逃がしてしまうんです。さらに、部下から死んだと思ったト会長も生きていたことを知らされ、泣きっ面に蜂。キム社長は狼狽し、部下を叱りつけます。
この時点で「おやおやっ…?」と思うんですが、だめ押しでマから電話がかかってきます。
「お前のようなチンピラが大それたことしてくれたなぁ」「腹を切り裂いてやる」「まってろよ」
大勢の部下の前で、ドスの効いた脅し文句をぶつけるマと、
部下を前にビビりまくるキムの対比に「あ、キムってもしかして…小物なんじゃ…?」とうっすら気づきます。
△電話なのに異様な目力のマさんと、困った八の字眉のキムさん
そこからキムの小物感は、どんどんと天文学的に加速していきますw。
キムさんは、ヤクザのテンプレ「よし、抗争じゃ!」ではなく
「こりゃ、やばい…」と完全にヒヨりまして、まず、自分でなく部下たちの小指を切らせます。
そして、光石研と木梨憲武を足して2で割ったようなパク課長という(劇中では明言されませんが)政府とヤクザのパイプ役らしい公務員のお偉方に、その指を献上して泣きつき、マとの仲介を頼みます。
△胡散臭いおじさん感100点のパク課長
余談になって細かいんですが、このパクに会うシーンの、
キムの小物感を強調する演出が好きなんですよね〜。
倉庫にお互い車を停めての会合なんですが、
パクの乗る車が来た瞬間、車に対してお辞儀しちゃう感じとか、
ドアを開けようとしたらドアが開かなくて、パクに怒られるとか、
車内での会話中もひたすらへこへこして「すみません」連発しちゃうとか。
すごくキムの人間味を感じますw
そして!
来ました、今作の白眉である
マウント取り合い・ジャージャー麺会合シーン!!
パク課長の仲介で、レストランにてマとキムの3人が会合するんですが、この3人がお互いのマウント取り合いをして、
結果、キムの馬脚がさらに現れまくるんですね。
まず頭から、パクとマはジャージャー麺をうまそうにすすって食べてる一方、キムはビビってまったく手をつけられません。
(ちなみに、これも余談ですが食事で楊枝でシーハーしちゃうパクや、お茶で口の中クチュクチュしちゃうマらの食い方汚い=人となりの底が見える演出も好きですw)
パクが「食べろよ」とキムに進めると、マが「ほっとけ。食わせたら腹切った時に汚くなる」とキムへ、強烈な脅しをかましつつマウントを決めます。
その後、手打ちの交渉はパクとマ中心で行われ、
当事者であるはずのキムは、冷や汗をかきながら、完全に蚊帳の外。
この感じ、学校でやらかした子供を前に、親と先生が話している構図と同じで、不思議と既視感がありましたねぇ。
この辺から、僕は不憫なキム社長へ徐々に共感し始めます笑
そして、今度は手打ちはしないマと、
手打ちをさせたいパクとでマウント取りが過熱。
折れないマに対して、ヘラヘラした柔和なおじさんだった
パク課長が急にキレ出します笑
このパクのキレ方が、怒り慣れてない人あるあるで
「おいお前ら、俺を人当たりのいい、優しいやつだと思ってるだろ?」「甘やかしたら調子乗りやがって!」「やってやろうか!本気出すぞ!?」
みたいな笑
これ絶対怒っても怖くない人、
例えば、いじめられっ子がいじられすぎて暴発しちゃった
時とかのセリフなんですよね笑
ここで、パク課長にも謎に共感しちゃいつつ、
キレたパクに対して、キムが申し訳ない気持ちが高ぶりすぎて
「すみませんでした…!」とすっくと立ち上がり謝り出す、という
ひ弱ムーブを自分からぶちかまします。
このキム社長の、積極的にマウントの下を取られに行く
清々しい負け犬根性に、僕の心は完全に奪われてしまうんですね笑
結局、済州島に逃げた暗殺の張本人、テグをキムからマに差し出し
手打ちにすることで会合はまとまり、
(さらに余談、この時のたくわんをテグに見立てて、中華店にある回転テーブルに載せて、くるくる回しつつ”誰がテグを始末するか”を話し合うやりとり、とってもヤダみがありましたねぇ〜)
マはキムを連れて、済州島へ向かうのですが、ここからキムの見た目も、ジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩め髪はボサボサ、くたびれて焦燥感に満ちた表情、とどんどん余裕のない男へと変貌。
それに伴い、ネタバレを避けますが、
言動も保身かつ風見鶏の、クズな本性を露呈していきます。
(クズ度だけでいうと『仁義なき戦い』の山守親分や『新感染』のキム・ウィソンをイメージしてもらえれば分かりやすいかとっ)
△上は「汚えからドアに寄って近づくな!」と言われるキム氏
ここまで、冒頭プラスからマイナスへと開花して行くキャラというのも珍しくって「むしろ、どこまでコイツは堕ちてゆくのか(^ω^)」と途中からキムにワクワクしている自分がいました笑
またそんなギャップのある二面性を演じ分ける、
キム役のパク・ホサンは本当にすげぇなと思いましたよ。
noteでいうと過去記事で取り上げた『ザ・コール』で
キーパーソンとなるパク・シネのお父さん役を演じていて、その時はすごく優しいキャラだったので、なおさら今作の変貌には感心しましたね。
△パク・ホサン。デフォルトは優しくて品のある人らしくて安心
また、そんなキムを追い込む
マ役のチャ・スンウォンも文句なしに最高の存在感・演技でしたね。
冷酷非道な怖さと、危険な男の色気を表現できている時点で
ギャング作品のヒールとして素晴らしいんですが、
意外にも”卑怯なことは嫌い”、”約束は守る”という最低限、
美学のようなものは持っていて、そこが仁義なきキムとの対比が際立つバランスになっていたり、また、素手で殴ってめっちゃ痛がるシーンなど、ちょっぴりユーモアも垣間見せる、奥行きのあるキャラクターを作り上げてます。
△チャ・スンウォン。普段から怖くないよ、って分かる素敵な笑顔写真をアップしときますねっ(。-∀-)
キム社長とマ理事を中心とした、男たちのマウント合戦。
ヤクザの世界の話と思うなかれ。
非常にリアルで思わず共感しちゃう(特に男性)こと間違いない、
ヒリヒリする見所として、おすすめでございます。
リアルな血みどろアクション
さぁさ、本作で忘れちゃいけないのは、
何と言っても”血みどろアクション”でしょう!
パク監督、
『新しき世界』のエレベーター無双シーンや、
『V.I.P. 修羅の獣たち』の車列襲撃シーン、
『The Witch 魔女』の能力者バトルシーンなどなど、
過去作でも、スタイリッシュかつ、リアルで血みどろな、
記憶に残るアクションシーンを数々生み出しているんですが、
本作でも、その記録を更新しておりますよ〜!
まず冒頭のト会長暗殺シーン。
サウナにて真っ裸の男たちを、
テグが次々にナイフで刺殺していくという、強烈なアクションなんですが、全員裸ゆえ、ごまかしが効きづらい撮影のはずなのに、
一切手加減の見えない、ハードな血みどろ格闘が早速繰り広げられます。
こちら、シチュエーション的に、デヴィット・クローネンバーグ監督の『イースタン・プロミス』名シーン、サウナフルチン格闘へのリスペクトも感じられて、さらに心掴まれちゃいましたね。
次に中盤、テグの済州島での居候先、
クトの家で、ヤクザやロシアのマフィアたちから襲われるシーン。
停車した車で待ち伏せていたロシア人マフィアたちが、
真横に停まった車の、テグとヒロイン・チェヨンを襲ってくるのですが、ドアを開けて降りてこようとするマフィアに対し、
テグが自車のドアを開け返して、ドア同士のつばぜり合いで対抗。
足でドアを蹴ることで押し勝ち、マフィアの足がドアに挟まれて折れちゃう、という、シチュエーションを活かした、フレッシュなアクションにサムズアップ!
また、並行してチェヨンのおじ・クトとマフィアが、
ガレージで銃撃戦を行うシーンが描かれますが、
2人がガレージの中と外、壁を挟んで撃ち合うんですね〜。
突如の名匠ジョン・ウー、オマージュに思わずテンションはガン上がりしちゃいます!
さらに、射撃の名手であるチェヨンが
ヤクザたちを返り討ちにする銃撃シーンでは、
無表情のまま、棒立ちで相手をロックオン、弾切れになるまで
撃ち尽くすスタイルは、北野武作品のスタイルに似ていると感じましたね。
ちなみに、ネタバレを避けますが、
クライマックスはパク監督の過去作『The Witch 魔女』の
影響バリバリの、チェヨンによる大アクションシーンがあり
これがまた最高!なので、ぜひ確かめてくださいね!
とこのように、本作は随所に
名作アクションシーンからの影響が見られるところも特徴の1つになってます。また、後ほどまた触れますが、アクションに限らず
本作は、北野武作品からの影響を色濃く受けているのは間違いないかなと思います。
そしてそして!
今回のアクションの白眉である
物語後半あたりの、テグが大勢のマの手下たちから逃げ惑うシーン!
これ、空港のロビーから始まり、車でのカーチェイス→クラッシュ→高速道路上でのドス入り乱れる大立ち回り、という15分くらい続く、ノンストップな一大アクションシークエンスになっていて、
その全体を通して言えるのは、
普通に考えたら、絶対に捕まるか殺されるかの
圧倒的数の差がある状況を、主人公の狂った強さと秀でた機知、
そして異常なまでの諦めないタフネスだけで、ギリギリ乗り切っていく、という演出になっていて、これが異常にハラハラするし、かつ燃える要因になってます!
例えば、空港ロビーでの追いかけっこシーン。
テグはエスカレーターを登る途中で、追ってきた手下たちに
捕まりかけるのですが、狭さを利用して振り返っては一人一人を
殴り倒します。すぐ後ろの手下だけ振り払うと駆け上がり、
その辺にあったスーツケースをエスカレーターを登ってくる大量の手下たちに投げつけ、また走り出します…といった具合に
空間や身の回りの物などもうまく利用しながら、ギリギリで追っ手をかわしていきます。
さらに驚いたのは、
高速道路上でテグの車がクラッシュし、車で追ってきた手下たちに追いつかれて、50人ほどのドスを持った男たちに、車を完全包囲された状態から逃げ出す、というシーン。
運転席のドアはひしゃげて開かず、容易に外にも出れない中、
何人もの手下に窓から体を掴まれ、引きずり出されそうになります。
ここで視聴者は「うわ…絶対に無理じゃんオワタ…(つД`)」と必ず、思うはずなんです。
だが、しかし!ここでテグ無双が発動。
狭い車内の中で、自分を掴んできた手下を全方位、片っ端から殴りまくり、ドスで切りつけられそうになれば、ギリギリでかわして殴り、後部座席から羽交い締めにされれば、気合いで振りほどいて殴り、さらには、車のキーを抜いて、手下の顔や首に突き刺したり、
ドスを持った手を噛みちぎって、武器を奪ったりなどなど…。
あらゆる手段でもがきまくって
なんと、テグはこの境地から脱するのです…!
詳しくはぜひ本編を見て確かめてほしいのですが、
これこそ、パク監督らしさ全開!
『新しき世界』のファン・ジョンミン演じるチョンが
これまた狭いエレベーターで、マチェーテを持った男たちに
襲われ、何箇所も刺されながらも、狂犬のようなタフネスさで
全員を返り討ちにする、伝説の”エレベーター無双”シーンに匹敵する名シーンだと思いましたよ!!
△『新しき世界』のチョン無双シーン!マジでアツいんです!!
キタノブルーで魅せる、孤独な男女の絆
はい、とまあ
ここまでは、割と物語の本筋から離れた
個人的フェチ視点でのおすすめポイントばかりを紹介してまりましたが、メインのストーリーはというと、あらすじで書かれたように
ト会長を暗殺したテグが、逃亡先の済州島でヒロイン、
チェヨンと出会い、心の交流を深めていく、というものであります。
そこでいうと、
この2人どちらも、ヤクザがらみで家族を失い、そのトラウマを抱えた天涯孤独な人物であり、そんな彼らが、不器用ながらも徐々に距離を縮めていくという流れは、割とこの手のジャンルの王道設定かなと感じました。
ただ、その中でも光ってるなと思ったのは、2人の俳優の存在感や演技。
テグを演じたオム・テグは、大谷亮平似のワイルド系イケメンで
セクシーなハスキーヴォイスが特徴的。
セリフ自体は少なく、寡黙な役柄ですが、家族を失い
生きる気力を失った、悲しい目の演技が素晴らしく、
また、クライマックスでは反対に、感情をむき出しにする演技があり、その部分の迫力の凄さと前半からのギャップに魅せられちゃいます。
△オム・テグさん『密偵』にも出てたんですねぇ。カタコト日本語の印象が強い役でした…汗
チェヨンを演じたのはチョン・ヨビン。
テグ同様、家族を失ったトラウマと、さらに難病で余命が残り少ないという不幸の天丼から、怖いもの無しに、スバズバと思ったことを言うような、人との距離感チューナーが壊れちゃった人物であり、ヨビンのいわゆるテンプレ美人ではない、絶妙にその辺にいそうな、また強さと儚さが共存する感じの容姿や立ち振る舞いが、非常に役柄とマッチしているなと感じましたね。
△チョン・ヨビン。今話題のNetflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』にもヒロインで出演中。まったく違う印象ですなぁ…
また、他にも言及したいのは、会話の掛け合いや小物使いの巧さ。
孤独な2人の交流を描く本作では、作為的な会話を最小限に抑え、
なるべく自然なやりとりの中で、キーとなる会話のフレーズのみを、物語で何度か効果的に再利用していくスタイルを取っていて、
これが非常に上手いなと思いましたね。
例えば、テグがタメ口を使ってくるチェヨンに対して、
生意気だと説教する掛け合いや、チェヨンがテグに「大丈夫じゃないと知りながら、”大丈夫か?”と聞いてくる人って嫌い」と持論を述べ、それに対してテグも言い返そうとする掛け合いなど、
物語前半部で出てきたときは、何てことない、自然な会話の1フレーズなんですが、後半部で再度、全く異なる状況で出てくる時には、2人の絆を示す効果を発揮するという、まだ観てない方には伝わりづらいかも知れませんが、「ほぉ」と膝を打つような脚本の巧さを感じましたね。
また、シリアス一辺倒だけじゃなく「クスッ」とできるユーモアも会話の掛け合いに含まれてるのもよかったです。
一番笑ったのは、胸に秘めたトラウマを吐き出し、少し距離が縮まった後に、チェヨンから「同じベッドで寝よう」とテグを誘うシーン。
「いや…」と戸惑うテグに「別にどうせすぐ死ぬんだし、私は構わないわよ」とチェヨン、自信満々に告げるんですが、
「そうじゃなくて、俺も一応好みってものがあってな。俺が良くない」
と無下に断られてしまうんですねぇ笑
男女の逃避行ものだと、なぜか毎回
大した理由もなく、2人が性的関係を持つ流れがお決まりなところを
(ちょうどこの前見たマイケル・マン監督『ブラックハット』がまさにそれでした…汗)見事に裏切るようなギャグで、とっても清々しかったです笑
と同時に、そういった安易な男女の関係を超えた「親友」のような、深い絆を築いていくところが、本作特有の魅力だなぁとも感じましたね。
最後に、2人の交流を描いていく映像が、
舞台となる済州島の美しさも相まって、とっても綺麗で素敵なんです。
例えば、テグが原付バイクの後ろにチェヨンを乗せて、
海岸沿いの道路を走るシーン。
俯瞰の空撮と望遠の背景ぼかしたショットで構成されてて、すごくエモいし、あと、個人的に原付2人乗りって日本とかアジア映画のでしか見ない気がして、より身近な青春感を醸し出してくれる気がしてますね。
また、銃撃戦パートでも触れましたが、
シチュエーションや画面の色味など、2人の交流パートで特に
北野武作品オマージュを感じるシーンが多かったですね。
例えば、海辺の浅瀬で、2人並んでタバコを吸っている画だったり、チェヨンが銃を頭に当てて笑う画だったりは『ソナチネ』を直接的に連想しましたし、全体の映像が青基調だったりするもの、キタノブルーを意識したんかなぁ、とも感じましたね。
まとめ
はい!ということで。
かなり長々と書き連ねて
とっちらかっちゃった印象もありますが汗
実はまだまだ触れ足りない部分もあったります笑
(中尾彬似なクトおじさんの目がすごい、とか、荒川良々似のヤクザとかコテージのお節介夫妻いい味出してたなぁ…等)
そろそろ、まとめますと!
紹介してきた、
スタイリッシュな血まみれアクション、
ドロドロの親父マウンティング合戦、
そして、美しい自然の中での孤独な者たちのふれあいといった
非常にそれぞれ質の高い要素たちが、奇跡的なバランスで混ざり合っていること、それこそが本作、最大の魅力なのかなと思ったりしております。
そう思うと、光と陰の混ざり合うイメージを内包する『楽園の夜』は本作を示すにとっても良いタイトルですよねぇ。
傑作だった『新しき世界』に匹敵する
大傑作をまたも生み出したパク・フンジョン監督
これからもクライムサスペンス映画の名手として、年2本ペースで
作品を作り続けてほしいですし、僕も公開されたら必ずチェックしていきます、と心に誓いましたね。
とりあえず、水刺身が食べたくなりましたっ!
ではでは〜。
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