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健康が転落する時3話

そこでの診察は、心臓専門病院への紹介だった。
ホルター心電図の時も、紹介されていたが、断った。断酒で乗り切れると思っていた。でも、今は走れるようになりたい。

カテーテルアブレーションの名医を紹介してもらう事になった。

カテーテルアブレーションとは、大腿部の静脈から血管に光ケーブルみたいなのを、通して心臓に火傷を作って、余計な電気信号を絶縁する手術。

この頃になるとゴールデンウィーク中もお酒を楽しんでいたが、禁酒も再び指示された。
仕事の忙しさも相まって、精神的にも追い詰められていた。

バクバク星人が2時間くらい訪れると、正常な心拍に戻っても、ぐったり疲れるんです。仕事にならない。この頃から早退が増え始める。この先不整脈がどうなるのか、疑問だらけで、Google先生に聞いてばかりいた。

心臓専門病院に最短で予約を入れてもらい、そこに行く事になる。

緊急事態宣言下の巨大ビルを抜けていくと、小洒落た病院があった。そこが、心臓専門病院だった。それまで、子供の頃に町医者にかかったくらい。転職してからドックに行くようになったくらいで病院の知識とか全く無く。

心臓だけの病院がある事も知らなかった。待合室も綺麗な病院でさすが都心の一等地、品のいい年配の方が多い印象だった。ここにいる全ての人が、心臓血管の病いにかかってるのかと思うと、ぞっとした。

紹介状を持って、医師の前にいくと、あっさり、手術の予約になった。

このあっさりさが、不気味な感じでした。手術の日程を最短で決めた。

血液をサラサラにする薬「プラザキサ」を処方された。小冊子もつけてくれて、飲み始めたら、絶対やめないで下さいと念を押された。歯の治療や怪我をした時にこのカードを見せてください。要は、血液が止まらない患者ですと書かれたカードだった。

なんか、不気味過ぎる。医療のコアな世界に入ってきた。
内心、やめたい、引き返して、やっぱりやめます。と言いたい衝動に駆られた。そう思いながら病院を後にした。

家に帰っても、もやもや。聞く人はいたが、聞きづらい。FacebookとTwitterで事情を日記に書いてみた。周りにもやった人がいる。本人もやった。そんなコメントが多かった。ポピュラーな手術なのが、だんだんわかってきた。

禁酒でなんとか、手術を回避できないかと、再び外来を受診した。

医師の対応はとても丁寧だった。よく、この手術の前におっしゃる患者さん多いですよ。かなり手慣れた、印象だった。心臓に手を加えるって、怖すぎる。

刻々とすぎて、プラザキサを飲み始めた。この時に、薬のチェックと血圧を計り出した。このために血圧計も新調した。この頃になるとバクバク星人と可愛いもので無く、バクバク大魔王と呼ぶくらい、4時間コースで心臓が160くらいになり始めた。それが終わると、ぐったりして何も手につかなくなっていた。

そうすると、手術をすればこれから、良くなるのか。自分の中で手術を肯定する様になっていった。

つづく

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