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【プロジェクトの進め方編】AIプロジェクトを推進する上で「責任と権限」に関して事前に把握しておきたいポイント

はじめに

@yutakikuchi_です
"AIプロジェクトを推進する上で「責任と権限」に関して事前に把握しておきたいポイント" という内容を4回のNoteに分けて紹介したいと思います。このNoteの内容は 第1回目の「AIプロジェクトの進め方」について書いたものです。

このNoteの位置付け

・第1回目 「AIプロジェクトの進め方編」(本Note)
 ・https://note.com/yutakikuchi/n/n897227207a30
・第2回目 「AIプロジェクトの契約編」
 ・https://note.com/yutakikuchi/n/n831f54c4247a
・第3回目 「AIプロジェクトに必要な人材と責任と権限編」
 ・https://note.com/yutakikuchi/n/n15cd7cd5bbce
・第4回目 「まとめ編」
 ・https://note.com/yutakikuchi/n/nc2e9a375e3cb

AIプロジェクトの進め方

事前に本エントリーでの言葉の定義をします。

責任 : 職務を遂行するにあたって負うべき義務の範囲
権限 : 職務を遂行するにあたって試行できる権利の範囲
PoC(プルーフ・オブ・コンセプト): 仮説を立てて取り組み、技術的にAIモデルの実装で実現可能かを検証すること
オフライン評価 : 開発環境などを利用して、過去データからAIモデルの適合率などの評価を行うこと。実施はオンライン評価をする前に実施する。一言で表すと開発環境でのAIモデルの技術定量評価。
オンライン評価 : オフライン評価実施後、本番環境を利用してAIモデルがどれ程のビジネスインパクトをどれほど及ぼすか、複数のモデルを並列で試したA/Bテストを実施すること。一言で表すと本番環境でのAIモデルのビジネス定量評価。※オンライン評価でもオフラインと同様に技術定量評価を実施したりもしますが、ここではビジネス評価の意味で記載しています。

AIやDXという単語が昨今メディアでも多く用いられるようになっているように、様々な業界の企業でもAI・DXの事例が出始めているので、「よし、我社でもやろう!」そんな思いを持たれているプロジェクト推進者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、AI・DXのプロジェクト推進は初めての方には非常に大変な作業になると思います。その理由として、AI・DXとして解くべき課題設定、データ収集、データ整形、モデル開発、モデル検証... などなど、数多くの超えなければならないプロセスが出てくると思います。

また、大変なのはプロセスだけではありません。AIの実態であるモデルが、どれほどの期待に応えてくれるか、具体的な精度を事前に見積ることが難しいという点があります。AIは最終的に未知のデータに対して適用して予測結果を得る必要があり、いかなる未知のデータに対しても期待精度を出すモデルを構築するというのが難しいためです。よってどれほど精度や効果が生み出されるかわからないが、プロセスを含めて探索的にやってみるという姿勢が重要になります。

下記は経済産業省が定めている「AI・データの利用に関する契約ガイドラインの概要」の資料になりますが、この中にAIプロジェクトの特性と進め方についての指針が書かれています。また「従来型のソフトウェア開発」と「AIソフトウェア開発」の違いについても書かれており、AIソフトウェア開発については、あらかじめ全体の機能設計・要件定義を済ませてから機能を実装を行う「ウォーターフォール型」の開発プロセスではなく、「探索的段階型」のプロセスを歩むことの必要性が読み取れます。それほどにAIソフトウェア開発は不確実性が高いので、プロセス自体も少しずつ前に進めて、何か課題に直面した場合は一度前に戻って探索的に検証を繰り返していく、その反復的な進め方が重要だとされています。
引用 : https://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index_files/21011902.pdf

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探索的段階型のAIプロジェクト 引用 :「AI・データの利用に関する契約ガイドラインの概要」

経産省とは別の資料ですが、下記Brainpad社のBlogにもAIプロジェクトの4つのStepが記載されています。言葉の使い方が少し異なりますが、構想フェーズ = アセスメント、実装フェーズ = 開発、運用フェーズ = 追加学習と捉えると上の表と一致するプロセスになります。

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※個人的には、経産省のAIプロジェクトの推進の言葉より、Braindpad社のプロセス定義の言葉のほうがしっくり来ます。またアセスメントも経産省のようにデータを受け取ってモデルを検証するという意味もあれば、もう少し前段の要件の整理なども含まれたりします。
引用 : https://ai.brainpad.co.jp/2236/

AIプロジェクトにおいて重要なことは、上の4つの大項目のStepを繰り返し実行しながら、AIを成長させ、またAIを活用するシステムや事業を合せて成長させていく必要があります。AIも人間と同じように時間を掛けながら日々成長をしていくものです。AIも作って終わりではなく、寧ろそこからが始まりのプロセスであり、日々企画段階の目的・データの量や種類・モデルのアルゴリズム・導入先のサービスへのリターンなどを定性・定量面の両方で見直し、改善のプロセスを実施します。繰り返し実行する価値としては、AIの成長が飛躍的な売上成長・コスト削減などの目的に一致し、ROIの中間ゴールが繰り返しの実行により徐々に達成されていく可能性があるためです。わかり易い例として、AIの精度改善が今よりも10%行われると、人員工数が20%減らせるなどのように。これは、企業の成長や利益率改善の起爆剤となりえるポイントなので、AIの活用をうまく適合させる必要があります。

上では簡易的な4つの大項目となるStepで記載しましたが、実際のプロセスとしては大項目の中に小さい項目が含まれてきます。おおよそ10個ぐらいの細かいStepをチームで実施をしていく形になります。この章で事前に把握しておきたいポイントとしては、「AIプロジェクトにおけるプロセスの繰り返し実行を誰の責任と権限の範囲の基行うか」が重要になります。権限と責任については「AIプロジェクトに必要な人材と責任と権限」というパートのNoteで触れたいと思います。

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