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【読書メモ】「Microsoft 再始動する最強企業」を読んで

「Microsoft 再始動する最強企業」という本を読んだので、自分の読書メモを公開します。

最近のテクノロジーや、ビックテック企業の思考について知ることができる本です。

この読書メモが本書を手に取るきっかけになれたら嬉しいです。

概要と感想だけでも是非読んでみてください。

概要

WindowsやOffice365で有名なMicrosoft。

時価総額こそ高いものの、少し前まで"過去の企業"の印象があった。

しかしここ最近、GAFAと並ぶビックテック企業として勢いを取り戻している。

Microsoftはなぜ勢いを取り戻すことができたのか。

そもそもどのような会社なのか。

本書ではMicrosoftの歴史からはじまり、Microsoftのビジネスや現CEOのサティア・ナデラの人格、ナデラの起こした改革まで、あらゆるMicrosoftを知ることができる。

そして、移り変わりの激しいIT業界を生き抜くMicrosoftのあり方は、とてつもないスピードで変わりゆくIT社会において、我々が生き抜くヒントとなるかもしれない。

Chapter1: 12万人の10兆円企業をゼロから作り替える

2015年秋、マイクロソフトは創業から40年にして株価で最高値をつけた。

GAFAの台頭もあり数年前までは古い会社、終わった企業、と思われていたマイクロソフトがいま、進化を果たし、再び世界を動かそうとしている。

その進化の推進力となったものはなにか。


三代目社長のサティア・ナデラの改革である。

ビルゲイツ、スティーブバルマーから受け継いだマイクロソフトをエンジニア出身のナデラが「トランスフォーメーション」している。

そのトランスフォーメーションはソフトウェアからクラウドへのビジネスドメインの移行からはじまり、会社のカルチャーまでも大きく変えていった。

自分たちは何のために存在し、どこを目指すのかを改めて見直し、一貫した改革によりマイクロソフトは変貌を遂げた。

Chapter2: 知られざる最強企業の全貌

マイクロソフトとは一体どんな会社なのか?

単なるWindowsやOfficeの会社ではない。

XboxなどのゲームハードウェアやAzureのようなクラウド、OneDriveやSkype、Linkedinもマイクロソフトのサービスである。

これらの数多くのサービスを生み出すことのできる環境がマイクロソフトにはある。

社員は強烈なプレッシャーの中で、自分の仕事がいかにお客様のためになるか。どれだけインパクトのあることなのかを追求している。

そしてそれは世界最高峰の頭脳が集まる研究所「マイクロソフトリサーチ」においても同様である。

研究者コミュニティに対して優れた研究をしてインパクトを出すのはもちろん、技術開発によるプロダクトとしてのインパクトや、社会的なインパクトを求められる。

これにより、マイクロソフトは基礎研究のみならず、より実践的で現実的な課題解決を可能にするサービスを提供することができるようになった。

Chapter3: AIを最もスケールできる会社

AI研究というと真っ先に思い浮かぶのはGoogleやIBM、Amazonといった会社だろう。

しかし、マイクロソフトも世界最先端の研究を行っていることで業界では有名である。

マイクロソフトのAI研究の大きな目的は「AIの民主化」である。

AIの技術を追い求めることを目的とするのではなく、確かな技術で社会問題を解決し、誰もが安く、簡単にAIを活用できることを目指している。

また、マイクロソフトのAIは囲碁に勝ったり、クイズに答えたりはしない。

さりげなく我々の生活に溶け込み、スマートスピーカーや自動運転、チャットボット、感情分析など様々なところで利用されている。

マイクロソフトはどれか一分野だけではなく、あらゆる分野の実用的なAI研究を進め、さりげないAIをあらゆるサービスに搭載しようとしている。

そうすることで、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」ことを目指している。

Chapter4: 未来を激変させる驚異の発明

マイクロソフトは持ち前の研究力を活かし、世界を一変させてしまうかもしれない発明をしている。

それがMR(Mixed Reality/複合現実)である。

これはコンピュータの世界を体験できるVRやそれを現実に取り込むARとは異なり、物理的な世界とデジタルの世界が融合した世界である。

VR(Virtual Reality/仮想現実)やAR(Augmented Reality/拡張現実)と決定的に異なるのは、物理世界がスキャンされ、デジタルのものが物理世界に本当に存在しているかのように知覚することができるという点である。

ARのように画面上に貼り付けられたように感じることはない。

マイクロソフトはMRのデバイスとしてHoloLensを開発している。

これはwinsows10を搭載したグラス型のデバイスで、デジタル世界を物理世界に投影させ、声やジェスチャーを使って物体を操作することができ、さらにはOfficeやExcelデータを扱うこともできる。

また、そのMR上での物体の動きを複数の人がそれぞれの視点から共有することができる。

この技術によりどこの誰でも時間や空間に縛られることなく繋がることができれば、あらゆる業界で不可能なことがなくなるだろう。

すでに日本でも建築や製造、医療、教育などの分野で積極的に使われており、さまざまな業界で導入が検討されている。

Chapter5: 驚異的な生産性を実現する仕組み

「働きがいのある会社」として知られるマイクロソフトがどのようにして、働きやすい会社を実現したのか。

マイクロソフトは以前はITの先端企業とは思えないオフィスの様子で、紙だらけの管理や夜中までモーレツに働く社員、女性社員の高い離職率等が横行しており、決して働きやすい環境ではなかった。

しかし、オフィスの移転と東日本大震災を機に一気に働き方改革に舵をきることになる。

2011年2月にそれまで7拠点あった日本のオフィスを1つに統合し、ITインフラの整備やフリーアドレス制の導入を進めた。

さらに、2011年3月の東日本大震災をきっかけに、全員が1週間オフィスには来ないで仕事をすることになった。

これにより、半強制的にリモートワークが必要とされ、実際に体験してみることでその便利さや生産性の高さを社員全員が実感することになった。

マイクロソフトでは様々なツールや仕組みを使って、徹底的に社員の生産性の向上を図っている

それにより、社員の生産性向上のために働きやすい環境が必要となり、結果的に働き方改革が進んでいる。

つまり、目的はあくまで生産性向上であり、働き方改革ではない。

Chapter6: ポスト・スマホ時代の覇者

マイクロソフトはソフトウェアやAIの力で、他社の業務改善やビジネスモデルの構築まで幅広く手がけている。

そしてそれはITだけに止まらず、マイクロソフトが生み出すデバイスに最適化された働きやすいオフィスのプロデュースまでおこない、世の中の企業がより生産性を上げる手助けをしている。

しかしこれらはまだ序の口のはずだ。

さらなるAIやMRが今後組み込まれ、より革新的な働き方を提供していく未来が迫ってきている。

スマートフォンは確かに世の中に革命を起こしたが、これが果たしてビジネスインフラとして優れた最終兵器なのだろうか。

マイクロソフトの持っているテクノロジーやデータが繋がり、新たなエコシステムが作られた時、マイクロソフトがポスト・スマホ時代の覇者になるのではないだろうか。

感想

最近、Covid-19の影響もあり、あらゆる企業でDX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる。

それに伴い、MicrosoftのクラウドであるAzureの伸びもすごい。

しかしこれは最近Microsoftが始めた事業ではない。

10年以上前からクラウド事業を始め、少しずつ押し進めていたクラウドへの移行、改革が花開いたものだ。

MicrosoftはPCが生まれたハードウェアの時代にWindowsというソフトウェアを作り、ソフトウェア全盛期、スマートフォン全盛期にクラウド事業への移行やMRの研究開発をおこなってきた。

つまり、常に一歩先の未来を思い描き、長期的な視野でビジネスを展開している。

Microsoftは決して"過去の企業"でも"終わった企業"でもなく、常に"先進的な企業"であり、"時代の先をいく企業"なのだ。


足元を見ていては未来が見えない。

常に先を見据え、そこに向けて着実で現実的な歩みを進める。

そうしなければ、この移り変わりの激しいIT業界、現代社会で生き残ってはいけない。

これは企業に限った話ではなく、我々個人の生き方にも通じるだろう。

常に新しい技術にアンテナを貼り、次に起こる未来を想像する。

そして、その未来に向けて少しでも早く、着実な一歩を踏み出さなくてはいけない。


(この本を読んで、Microsoftやサティア・ナデラのことが好きになりました。ナデラが本当にすごい人なんだなーと思える本です。)

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