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アニメ映画『トラペジウム』の感想

  今回はアイドル活動をされていた高山一実さん原作で、現在公開中のアニメ『トラぺジウム』を映画館で観ました。出版当時に話題となりましたが未読です。きっとアイドルへの道の険しさが描かれていると考えながら、きれいな色彩のポスターを見て気分が高めました。それでは800文字の映画感想(エイトオーオー)をお読みください。
 ※ネタバレを含みますのでご注意ください。あくまで個人の感想です。

 主人公・東ゆうは東西南北が付く高校の女子たちを1名ずつスカウトしてアイドルグループを結成するところから始まる。4人のメンバーはラテン語で平行な2辺が無い四角形やオリオン星雲の4つの重星を意味する題名の『トラペジウム』に重なる。方角が付く高校は地方にだいたいある。地方から都心にいるアイドルが輝いて見えるだろう、と考えると設定が面白かった。
 アイドルの道計画を予定どおり東ゆうは、云えば打算的な人物であるが、こういう人が主人公になるものはなかなかないと思うので、途中からどういう展開になるのか楽しみだった。主人公のおかげ(思惑)でアイドルになれたメンバーが芸能界のハードな世界に耐え切れなくなっても、自分の気持ちに正直なパワーのある主人公が突っ走っていく姿が懸命で勇ましく、また自分勝手さもあり人物のキャラクターが出ていて見応えがあった。

 そんな主人公は周りが見えていないことからメンバーとの歪みが生じて、アイドルの道計画が逸れていくことで不安を覚え葛藤が生まれる。人前に出て踊る自信が必要なアイドルになることをメンバーが快諾してグループが成立するとは思わず結成までに葛藤が生まれると思ったが、案外うまくいってしまったのが物足りなかった。「アイドルになりたい」と願望をメンバーそれぞれが動機をしっかり持っていたら、想いの強さやひたむきな姿で応援したくなるかもしれない。ここ数年前からアイドルオーディションや日々の生活がドキュメンタリーが作品として多く出るようになったが、厳しい練習をこなす姿を見て、自分の努力の足りなさを感じ、ファンや視聴者が背中を押されているような気持になって惹きつけられる。類似と思われるのが『フラ・フラダンス』で、既にフラダンサーになる願望を持った少女たちの成長ストーリーがある。

 どうやら「友情と青春」がメインの作品であるようだ。

...映画をつぶやくエイトオーオー vol.2
『トラペジウム』【2024】監督:篠原正寛 原作:高山一実 脚本:柿原優子

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