見出し画像

いろはな防災 ~イニシエ少女の災活~ シーズン2 第03話

第03話 低気圧と台風のイロハ 気圧その3

※文中のhPaはヘクトパスカル(大気の圧力を表す単位)

水位も増えた仁淀川。
まだまだ、雨はやみません。

「じゃあ、宮花さん、次は何を教えてくれるのかしら♡」

ウインクしながら言われたら、背中がゾクゾクしちゃいます。

01【偏西風のいろは】

「了解しました、先生!」
敬礼しながら考えます。

「次は《偏西風》を説明します、よく聞きますよね」

「ええ、テレビではで聞く名前だけど、良くは知らないわ」

「天気予報では名前を聞く位ですが、凄く天気に影響があります。
日本に四季がある大きな要因の一つです。

《偏西風》は、地球の中緯度地域、北半球と南半球のそれぞれ中間あたりで、常に西から東へ吹く風のことなんです。

地球の自転と温度差により大気が循環するために発生し、様々な気象の変化を引き起こします。

1.気圧の高低による気象システムを西から東へ移動させ、天気が
 一定のパターンで変化しやすくなる。
 
  温帯低気圧(嵐)を東へ押し流し、雨や風などをもたらし、
  特に冬の間に偏西風が強くなると、激しい嵐が発生する場合がある。

2.その偏西風の中で、特に強い風の帯であるジェット気流があり、
  高度約10km付近で非常に強い風速(時速200~300km)
  となる場合がある。

  気象を動かす重要な役割を果たしていて、天気予報にも大きな影響を
  与える。

3.航空機が偏西風に乗ると、西から東への飛行時間が短縮される場合が
  ある。

  逆に、東から西へ飛行する場合、偏西風に逆らって飛行するため、
  時間が長くなる場合がある。

  飛行機の会社は、偏西風に乗ることで燃料の消費を節約できるため、
  飛行ルートの計画に偏西風を考慮します。

4.海の表層の海流を動かします。

  北太平洋では偏西風が北太平洋海流を東へ動かし、これが気候にも
  影響を与える一因です。

で、どうですか、先生!」

「うーん、実家に帰るときも新幹線で飛行機乗らないし、なんか実感が無いわね。
他所の国の天気も知ったことでは無いわね」

「じゃあ、これでは!!

1.春と秋は、偏西風が徐々に強さを増したり減少したりする時期であり、    
  これにより、気温や天気が変わりやすくなります。

  春には暖かい空気が北上し、秋には冷たい空気が南下することで、
  季節の変わり目が訪れます。

  春と秋は、偏西風が温帯低気圧や前線を頻繁に運んでくるため、天気が  
  不安定で変わりやすい季節です。

  晴れの日が続いたかと思うと、急に雨が降ったり、寒冷前線が通過して
  寒くなったりします。

2.夏には、偏西風は北半球では北に移動し、南半球では南に移動します。
  これにより、温暖な空気が広がり、暑い夏の気候が形成されます。

  夏の間、偏西風が北に位置するため、日本など中緯度の地域では
  太平洋高気圧などの高気圧が張り出し、安定した晴天が続きます。

  ただし、偏西風が弱まることにより、熱帯の湿った空気が入りやすく
  なり、蒸し暑い天気や集中豪雨が発生することもあります。

3.冬には、偏西風が南に移動し、冷たい空気を南に運びます。
  これにより、寒気が流れ込み、寒い冬の気候が形成されます。

  冬の偏西風は強まり、寒冷前線や低気圧が活発になり、雪や冷たい雨を
  伴う悪天候が多くなります。
  特に偏西風が強いと、大規模な寒波や吹雪が発生することがあります。

《まとめる》と、
偏西風は、四季ごとの気温や天候パターンを大きく左右します。

春と秋の不安定な天気、夏の暑さ、冬の寒さなど、それぞれの特徴的な気候は、偏西風の動きとその強さに大きく影響されています。

で、今度はどうですか?」

《宮花楓子》はリサリサに会心の一撃を放った!!

でも、そんなに効いた様子はなかった……

「分かったわ、《四季》があるのは偏西風のお陰って事でイイのかしら?

夏にビールが美味しいのも、冬に熱燗が美味しいのも、偏西風がもたらした気候のおかげってコトよね?」

「違わないですが、そういうコトじゃないんだけどな……」

「よし、来たるべき夏に向けて、ビールの備蓄を増やさなきゃ。
今年は猛暑になるって言ってるから、倍よね、倍!

イイこと教えてくれてありがとうね、チュ♡
来たるべき《高気圧》に備えて、ビールをキンキンに冷やして置かなきゃ。

飲むわよ!今年の夏は!暑いのは一期一会だからね」
拳を握ってガッツポーズ。
ここに居るのは、ただの《のみしんぼ》でした。

02【高潮のいろは】

「台風の被害は大雨や大風ですが、もう一つ《高潮》があります。
これは、内陸部にはあまり関係ないですが、沿岸部、特に《漁港》に大きな被害を与えます」

「花ちゃん、高潮ってなあに?
聞いたことはあるような気がするけど、良くわかんない?」
久しぶりに桜の登場。

「テレビで台風の時に堤防とかの上を大きな波がザバーン!ってなってるの見たことない?

高潮とは、通常の海面である《天文潮位》が低気圧である台風によって、
抑える力が減り、海面が吸い上げられて持ち上がる現象のコト。

《天文潮位》とは、月や太陽の影響(起潮力)によって起こった変化後の潮位のコト。

台風の風による吹き寄せ効果で波が堤防に当り、最悪超えてしまうことがあるの。

持ち上がる量は色んな要因があるから一概には言えないケド、1〜3メートルって言われてる。
過去には5メートル持ち上がったコトもあるって。

海面が持ち上がると、堤防を波が超えやすくなる。

高知では室戸が大変な被害を繰り返し受けてるの。

1934年の《室戸台風》は上陸時の中心気圧が911hpsと本土に上陸した台風の中で一番強いの。

室戸から上陸して、京阪神地方ひ多大な被害を与えて、死者・行方不明者 3000人、負傷者 15000人と多大な被害を出した。

戦前だから、木造の建物が多くて、特に学校の被害が甚大で多くの犠牲者が出た。

中央気象台付属室戸測候所では最大瞬間風速60m/sを記録したところで観測機械が故障して、正確な風速は不明。

ちなみに、建築基準法の「耐風性」は2000年(平成12年)に改正されるまで、速度圧の基準が高さ15mにおける室戸台風の推定最大瞬間風速約63m/sを基に定められている。

大阪も沿岸部は海抜が低く、人口が密集してたから都市機能が麻痺するほどの被害を受けたの。

海面が上昇して暴風雨であおられて、さらに満潮だったら目も当てられない被害が出る。

湾の堤防超えた波が来ると、漁船なんかは甚大な被害を受けるし、沿岸部は浸水被害が起こって大変。

行政も過去の教訓から対策してるけど、この気候が変動している中では現在の想定を超える台風が来る場合もあるから、自然との戦いは切りが無いよね」

考えさせられるおコトバです。

03【台風対策のいろは】

「ねえねえ、花ちゃん、台風対策ってどうしたらイイのかな?」

桜の質問、イイね!乗ってきた。

「直接の被害、つまり雨や風での被害はスグには防ぎようがナイから、
家を建てる時に対策するしかない。

キモは間接被害をいかに無くすかが大事!
つまり、風で飛ぶものを飛ばないようにする。

 台風直撃エリートの高知県民から言わすと、
「1.自転車は倒す。
   バイクもカバーは紐でグルグル巻きにして、風が入って
   あおられないようにする。

 2.物干しは地面に置く。
   できるなら物干し台も倒す。

 3.風で飛ばされそうなモノの対策。
   ① 屋内に入れれる物は入れる。
   ② 入れれないものは網など、風が通るものをかぶせて
     ブロックとかで重しをする。

 4.雨戸をする。
   木製などの古いタイプは板などを打ち付けて飛ばないようにする。
」ダネ。

特にバイクのカバーは思った以上に風が入ってあおられるから注意が必要。
オトンのゼファー400がカバーしてただけだったから、風でカバーが膨らんで、朝起きたら倒れてたって。

都会で台風くるからって、自転車倒してたら、近所の人が親切に起こしてくれてたって笑い話みたいなコトも起きてる。

お店は急にカンバンとか直せないから、普段から対策しておくことが重要。

ワタシびっくりしたことがあって、2018年の台風の時、テレビで大阪市内の映像を見た時に、雨戸がある家が全然ない。

オカンの友達もどうしたらイイって連絡あって、雨戸ないから段ボール貼っとけって言ってた。

高知では「雨戸がない家は無い!!」って言い切れる位なのにな。

やっぱり昔から台風銀座はちがうな〜って思った。

オトンが子供の頃は実家の雨戸が木製で飛ばされやすいから、板をバッテンに貼って釘で止めてったって」

「昔のテレビとかでは見るけど、実際やってる人初めて〜」
今では考えられない昭和の遺物に桜は目をきらめかせます。

「そうね、自然は上限ないからね、ワタシも浮き輪買っとかなきゃネ」
そう言うと、リサリサ先生、またまたウインク!
分かってやってるな。

「あと、人命に関わるのが、田んぼを見に行くコト。
大事かもしれないけど、見に行った人が帰って来なかったら、家族が探しにいかなきゃいけない。

台風の暴風雨の中で外出するのは自殺行為。
二次災害を防ぐためにも、外には絶対出ちゃいけないね」

真剣な顔で花ちゃん力説。

「でも、住んでる地域によって、対策の方法が違う場合があるから、不安な人は地域の自主防や自治体の担当部署に問い合わせたらイイかもね。
自分の命を守るコトにつながるから、興味を持って取り組まなくちゃね」

それに、「ウン、ウン」と頷く二人。

リサリサ先生、窓の外をチラッと見て。

「川の水位もだいぶ増えてきたわね。
 そろそろイイ時間だから帰りましょ。
今日は車で来てるから、送ってってア・ゲ・ル」

二人は顔を見合わせて、
「ばんじゃーい♡」

「大丈夫よ、今日は呑んでないから」
サッと青ざめるお二人さん。

「先生学校で呑んでるの?」

「授業中には呑んでないわよ、帰る前に、ちょっとグビリ。
途中の酒屋さんでちょっとねグビ、グビリね♡」

「そんな、神聖な学び舎で……」

リサリサ先生、フフンな顔して、
「あら、神様にお神酒は付き物でしょ♡」

座布団1枚、持ってきて〜

そんな、こんなで大笑い。
雨で湿って寒い中、ココだけ3人、ポッカポカ。

(おわり)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?