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[ラダーラダーラダー!]一週間で開発したゲームデザイン話

一週間でゲームを開発して投稿するイベント、に参加し、ゲームを投稿しました。そのゲームデザインが固まっていく過程を振り返ってみようと思います。

投稿したゲームページ。タイトル「ラダーラダーラダー!」
https://unityroom.com/games/ladder

0日目 : コンセプト決め

"ハシゴ" をつけかえながら登ってくゲームを作りたいんだ
"ハシゴ"を取り外し/取り付けるギミックを以前のゲームで作りました。そのギミックが結構面白いなと思っていて、もっと掘り下げたかったです。そのため、今回のゲームではそれを流用、フォーカスしたものにしようと、お題発表前には決めていました。

1日目 : お題「逆」の発表と取り込み

プレイヤーキャラ(以後コーギー君)の向きを "逆" にする
お題発表後、作りたいゲームはすでに決まっていたので、"逆" 要素をどう盛り込むか考えました。結果、勝手にうごくコーギー君が、思った方向に動かない。"逆" の方向に進んでもどかしい、そんな仕様にしようと決めました。

コーギー君を自動で動くようにしたわけ
操作をできるだけシンプルにしたかったので、プレイヤーキャラ( 以後コーギー君 ) を勝手に動くようにしました。コーギー君の操作をさせようとすると、矢印キーや AWSD 等のキーボード入力が必要になるからです。勝手にうごくなら、キーボード入力は不要になります。

ジレンマの設計と逆要素のマッチング
当初は壁にぶつかるまでコーギー君は同じ方向に歩き続ける仕様でした。ハシゴを登ったあとでも、登る前と同じ方向に歩きます。実際にテストプレイしてみると、次のうごきが簡単に予測でき、ジレンマを感じないものになっていました。困ったときは運要素だと思い、試しにコーギー君が右左、どちらに歩き出すかランダムにしてみました。すると開発者自身も、「あっ、ちょっとうまくいかない」「今回はうまくできたぞ!」などプレイ毎に体験がかわり、なにを優先して操作するべきか、というジレンマを感じることができたいので、これをジレンマ逆要素の両方を満たすものとして採用しました。

お邪魔キャラの配置
ハシゴとコーギー君のギミックだけでは味気ないので、お邪魔キャラを配置しました。素直にクリック長押しで排除できる仕様としました。この時点で以下のようなゲーム性が出来上がりました。

- はしごの取り外し/取り付け
- コーギー君の向きを正す
- お邪魔キャラの除去

コーギー君を自動で動かせるようにしたので、上記の操作をすべてマウスのみで行えるようになりました。これによってシンプルな操作性を維持できました。この時点でコーギー君を自動で動く仕様にしたのは正解だったなと感じました。

コンボ要素の追加
次に時間内に連続でハシゴをのぼっていくとコンボが繋がり、得られる得点が増える仕様を採用しました。
なぜかというと、プレイヤーへの報酬要素が必要だったからです。この時点で "コーギー君をうまく登らせる" というところが肝なゲームになっているように感じました。そこで、コーギー君を絶え間なく、うまく登らせると、プレイヤーに報酬が得られるようなルールが何かを考えました。その結果、コンボ要素の採用になりました。このときふと頭に浮かんでいたのは @GMshara_ さんの サウンドシークショット のボーナスの仕様でした。特定の時間内に次のハードルをクリアできるとボーナスがもらえる仕組みになっています。その仕様をはしごをのぼっていく要素とうまく合致すると思い、マネさせてもらいました。画面枠をぐるっと回る演出についてもインスパイアさせていただいた次第です。

そろそろUIとかゲームフローとか作らないといけないということで、諸々作った。画面の外枠をグルっと回るゲージをちょっとやってみたかったので作ってみた。前回のunity1week参加作品の千本桜(作者:なかじさん)から影響を受けている。 - 引用

1日目の進捗は以上になります。

2日目 : エフェクトの追加

以前セールで購入したパーティクルアセットからお邪魔キャラのダメージと死亡演出に使うものを選ぶ作業をしました。とくにコードを書くこともなく、見た目を選ぶだけなので、楽しい作業でした。

3日目 : ひと筆書きでお邪魔キャラを攻撃

当初、お邪魔キャラにダメージを与えるには、常にお邪魔キャラにマウスをのせ続けないといけない仕様でした。しかし、マウスクリックの当たり判定の調整をやっているうちに、バグでひと筆書きでお邪魔キャラを倒せるようになりました。これがやってみると思いのほか気持ちのいい動きになったので、そのまま採用としました。
絵作り
シンプルを突き詰めるにあたって、あまりステージは横に広く無いほうが良いと考えていました。そのため、左右のスペースはデッドスペースとなっていました。そのままスペースを殺すのも、画面サイズを変えるのも勿体なかったので、遊び心でコーギー君を配置してみました。吹き出しも加えてゲームの進捗に合わせてなにかしゃべらせるとおもしろいかなと考えていました。時間がなければ消せばいいぐらいの感覚でした。

4日目 : 周回要素とポイントガチャ倍率の採用

当初から、周回要素は採用しようと考えていました。そこで、周回すると何が引き継がれるか、周回特典はなにか、周回の終了条件は何か。ということを検討しました。引き継がれる要素としては、シンプルにスコアを採用しました。周回得点としては周回するたびに3つのアップグレード要素から一つを選べるのはどうかなと当初検討しました。例えば以下のような要素です。

- コーギー君の足がはやくなる
- コーギー君のハシゴをのぼる足がはやくなる
- ポイント取得にボーナスがつく
- 敵を素早く倒せるようになる

ゲームとしてシンプルな設計を保つことや、実装を間に合わせることを考えると、ステータス向上系の要素は今回見送りました。そこで、変動する値はすべてスコアだけに絞ることにしました。その結果、周回特典としてポイント倍率ガチャ要素を採用しました。運要素を入れるとやりこみ度が上がると考えたからです。また倍率が変わることで、オンラインランキングでも大きく点数の差がうまれることで、プレイヤーに驚きを与えることができると考えました。コンボ要素もスコアの倍率に影響するので、相乗効果でポイントが大きくなっていきます。

最後に周回の終了条件ですが、これにはノルマ制度を採用しました。以下のような仕様になっています。

- ノルマを達成すると取得したポイントを持ち越して周回できる
- ノルマを達成するとポイント倍率ガチャを回せる
- ノルマを達成できないとそこで、ゲームは一旦終了しランキング入力画面になる

ノルマ制度を採用したのは、周回要素のメリハリのためです。周回に条件がなく、延々とポイントを積み重ねるだけになるので、ただたくさんプレイした人が上位のランキングにのってしまうので、それを防ぐ効果を狙って採用しました。

5日目 : 周回機能の実装

前日に決定した仕様を実装するだけに収まりました。

6日目 : UI の配置とフィードバック

周回機能の実装が終了したので、それらの値を確認できるる UI を配置しました。とくに次回のノルマの表示などをして、周回を続けるには、どれぐらいのポイントを取得しないといけないのかをプレイヤーに示すように工夫しました。(実のところ、この UI をみてプレイしてる方がいるかは確かめられていませんが。) これらは、余っていた左側のスペースにすべて表示をまとめました。画面上部においていたスコア表示もこのときに左側にまとめました。右側はコーギー君専用のスペースとしました。

またこの時点で周回要素が完成していたので、テストプレイを重ねてバランス調整ができる段階に入っていました。そのため知人3名程度にテストプレイを依頼して、調整の参考にしました。とくに参考になったのが、説明を読まずにプレイして、よくわからないけど低い点数だった。というフィードバックです。たしかに説明を読むのは面倒だし、ゲーム中の導線で自然と学習していけることがベストだと思います。ここ6日間、仕事をして、おわったらゲーム開発を行っていたので、かなり疲れて、正直もうチュートリアルをつくるモチベーションがなかったです。しかしフィードバックをうけて、なんとか重い腰をあげて、チュートリアルを作らねばならないと思いました。そこから、チュートリアルの作成に取り掛かりました。

7日目 : チュートリアルの実装と Tips の実装

チュートリアル
チュートリアルに関しては、ここにきて、凝ったものは作れません。そこで基本方針として、最低限ゲームを楽しみめる内容にとどめ、あとは Tips でカバーしようという方針をとりました。チュートリアルでは以下の要素を説明するだけにとどめました。

- はしごの取り外し/取り付け
- コーギー君の向きを正す
- お邪魔キャラの除去
- コンボ要素


Tips
チュートリアル補完のために、コーギー君に Tips を喋ってもらう設計は非常に楽しかったです。実装が楽だったので、セリフをたくさん考えて、遊び心を詰め込みました。まずこのゲームの肝はいかにコンボをつなぐかなのでそれを促すような内容を盛り込みました。

- コンボが始まると、コンボのスタートだ!と言わせる
- コンボが切れると、切れてしまったことを嘆く
- 5コンボを達成すると、喜ぶ

などです。また遊び心として、たまに開発の裏事情を話たり、フランクにプレイヤーに話かけるような内容を盛り込みました。

バランス調整
バランス調整では、以下の2つの要素に絞って行いました。

- ノルマの数値
- レア高得点お邪魔キャラの設置

ノルマの数値については、周回毎に要求される数値が上がっていきます。ポイント倍率が1倍のときは一度の周回で最高で平均、900 - 1000 ほどの値が取れるように固定しています。その値とガチャが成功したときの値を考慮して、設計しました。いまでもただしい設計になっているかはわかりませんが、時間いっぱいの調整でしたので、悔いはないです。また、ある一定の確率出現する高いポイントを得られるお邪魔キャラを用意しました。これはどうしても次のノルマに届かない場合にあらわれて、救済してくれることを期待して実装しました。他にも、ビギナーズラックが起こるようにという狙いもあります。

その後無事リリース

これらの試行錯誤を経て、無事に期限内にリリースすることができました。遅刻投稿もありなイベントですが、僕の体力が限界だったので7日間できっちり区切りをつけれてよかったです。またリリース後には多くの方から、プレイの感想が寄せられて、こちらの意図した面白さを感じてもらえたようで非常に嬉しいです。遊んでくれて、ありがとうございました。

その他

今回はゲームのデザインについて限った記事になりましたが、気が向いたら具体的な開発の話や、スケジューリングの記事も書きたいと思います。また、投稿されているすべてのゲームをプレイするつもりなので、僕なりのゲーム紹介特集記事なども今後かけたらいいなと思います。ここまで読んでくださってありがとうございました。次回作もよければぜひプレイしてくだささい。

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