評価の伴ういい作品
伊勢丹新宿店での「サロンドパルファン2024」初日が終わった。
去年はどうだったかあまり覚えていないが、今年は三越伊勢丹グループが発行するMIカード保持者のみが初日に入場できる権利を持っていた。それに伴い来場者数は限られ、ブランド側としてはひとりひとりへの接客時間をきちんと割くことができたし、お客さんもゆっくり見て回れたはずだ。初日入場を一部の人に限ることに関しては賛否が分かれるところだろうが、少なくとも今日の様子からすると悪い施策ではなさそうだ。とはいえ、この施策により結果的に2日目以降に人が集中してしまうのであれば元も子もないのかもしれないが。
çanomaの着席できるスタンドは、伊勢丹の社員さんからもお客さんからも大変好評だ。今回はかなり広いスペースをもらったので、どう有効活用しようか頭を悩ませたが、お客さんにゆっくりしてもらうのが一番だろうという結論に至り、スツールを置くことにした。畳張りのテーブルもいい感じ。ぜひ見に来ていただきたい。
また、新作の「10-20 蜻蛉」もとても人気だ。先日行った伊勢丹が運営する香水コミュニティ「Parfun」向けのセミナー参加者も今日めがけて買いにきてくれたし、çanomaを知らなかったお客さんが即決で購入していったケースもある。
まだ初日なので、あと5日間どのような盛り上がりをみせるかは知る由もないものの、çanomaにとっても、イベント全体としても、非常にいい初日だったのではないかと思料する。いい雰囲気が会場全体を包んでいたように感じた。
香りを作る時は、もちろん自分が作りたいものしか作らない。きっと私は、売れることを意識して作ることのできないタイプのクリエーターだと思う。
よって、作っているときは「売れようが売れまいがどうでもいい、とにかくいい作品を作ることこそが重要なのだ…！」と息巻いている。それがどこまで伝わっているのかは正直よくわからないが、いずれにしても私は本気だ。
ただ、これが実際に売る場面になると話は変わってくる。自分がいいと思って作ったものがどのように受け止められるかが、やはり気になってしまうのだ。もし見向きもされなかったらどうしよう、とか、最後にした修正は本当に必要だったのか、もしかしたらひとつ前の段階で止めておくべきだったのかもしれない、とか、そんなことを考えながら、私はクヨクヨする。
今日も私はそんなこんなでクヨクヨしていた。特に、4年前にブランドをローンチしてからというもの、香水の新作をきちんと出したのは今回がはじめてだったのだ。去年の「サロンドパルファン」でも、「7-18 浮舟」と「8-17 松風」を発売したものの、それらは限定ボトルとしてだった。今回の新作情報はこのnoteを通して解禁したり、事前勉強会などで一部の人には紹介していたが、ほとんどのお客さんは店頭にてçanomaから新作が出ることを（あるいはçanomaというブランドそのものを）知り、そこで購買のジャッジをする。そこで売れなければ、評価はされない香り、ということになる。
今日のお客さんの反応を見ていると、「10-20 蜻蛉」は今後、評価の高い香りになりそうだ。私は今、ホッとしながらnoteの記事を書いている。
「10-20 蜻蛉」を試したとあるお客さんから、それに対しての好意的な評価と共に、こんな言葉が返ってきた。
「今までのçanomaと全然違いますね」
とても嬉しかった。
それはつまり、私の新しい挑戦が、実際にきちんと「新しさ」を伴っていることを証明し、かつそれが評価に値するということを意味していた。
それは「いいブランド」になるためのひとつの条件であるように感じられたのだ。
「いいもの」を作っているが評価が伴わないのは「いいアーティスト」であり、「いいもの」を作りかつ評価されるのが「いいブランド」なのではないか、と先の言葉を反芻しながら私は思った。
そしてそれが積み上がっていった先に「悪いもの」を作っても評価されるようになるのかもしれないが、それはなんと呼ばれるのだろうか。あるいはそれこそが世間一般でいうところの“いいブランド”なのかもしれない。
いずれにしても、先の言葉で、çanoma、そして私が「アーティスト」から「ブランド」へと成長していく段階に入ったことを感じさせられた。「いいブランド」となるのはきっとまだ遠い未来のことだろうが、これからもきちんと評価の伴ういい作品を重ねていければと思う。
「サロンドパルファン2024」は、明日木曜日から全ての顧客に開かれる。ここからの5日間が本番。
いいイベントにしようと思う。
みなさん、来てね。待ってます。
【çanoma公式web】
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