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絵本の力

今日お昼前に家を出る時、ポストに無造作に突っ込まれた大きめの封筒を見つけた。私はそれが、昨日友人からおすすめされるがままAmazonで購入した絵本であることにすぐに気がついた。

それは昨日のnoteにも書いた、ユリー・シュルヴィッツの『よあけ』という絵本だった。

とりあえずポストから半分以上はみ出ていたその封筒を引っ張り出し、一旦家に置いてから外出した。

帰宅後しばらくして、絵本をおすすめしてくれた友人に既に手元に届いたことをLINEで報告したら、「どうでした?」とすぐに返信で感想を求められた。絵本だからすぐに読み終わるし、次の外出までまだ少々時間があったので、とりあえず開封して目を通し、“それっぽい”感想を書いて送ろうと考えた。


人生で思い出深い絵本を3冊挙げよと問われれば、私は『はらぺこあおむし』(エリック・カール)と『にじいろのさかな』(マーカス・フィスター)、そして『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん、もりひさし、わだよしおみ)と答える。特に『しろくまちゃんのほっとけーき』は母のお気に入りでもあった。数ヶ月前に旅立った母と病床で何度かこの絵本を話題にしたとき、「やけたかな、まあだまだ」と、まるで歌うように口にした彼女の脳裏には、きっと幼き日の私が鮮明に浮かび上がっていたことだろう。


絵本前半というものは読まれるのに適切な年齢があると思っていた。先述の3作品も幼少期に手に取ったから今でも心に残っているのだ。35歳の私が絵本を読んで、興味深く感じることはあっても、感動することはないだろう…私はそうたかをくくっていた。


「おともなく、」

という文章とともに、穴からどこかを覗き込んでいるような絵から始まるその絵本は、静かにゆっくりと進んでいく。ページを手繰るごとに部分部分が写し出され、その全容が少しずつわかるようになる。

それがあるところで、大きな転換としての「解放」が訪れる。その瞬間、絵本は身体を通って心に染み渡る。そして、「始まり」の喜びが全身を駆け抜ける。


覚えず、私は深く感動していた。

詳細はネタバレになってしまうので書けないが、絵本だからこそできる表現方法で、ある瞬間における比類なき美しさを大胆に描いた素晴らしい作品となっている。前情報も先入観もなく、ぜひ読んでいただきたい絵本だ。


その旨を紹介してくれた友人に報告すると、「まさに、その通り!」と返事がきた。私は彼女に、素敵な絵本を紹介してくれたことを感謝した。


今まであまり気に留めてこなかったが、絵本でしかなし得ない表現があり、それは年齢に関係なく深い感動を与えるものである。香りを作る上でのインスピレーションソースとなるものも、あるいはあるかもしれない。

ということで、もしおすすめの絵本があったら、ぜひ教えてください。どんなものでも構いません。


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