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チーム江刺で学んだこと【6月】

日本大学大澤研究室チーム江刺の6月取り組みにて学んだことをまとめる。江刺の主観で記す。


先月までの課題

先月までの課題は以下のページに詳しく書いている。

要約すると以下の3つの課題が生じた。

  1. 外部にばかり目を向けていて内部を疎かにしている

  2. 動いているが生産性がない

  3. チームミーティングの時間が長い

1つ目の課題は、外部との関わりを増やすことばかり考えるのではなく、チームとして何か成果をあげようと意識することで解決しようとした。
2つ目の課題は、共同研究先との取り組みや、輪講会を行うことにより解決にしようとした。
3つ目の課題は、私ではなく、後輩にファシリテーションを頼むことで解決しようと試みた。

自己紹介に対する後輩の苦悩

大澤研究室の強みとして「自己紹介」というものがある。以下に大澤正彦先生が出版している「じぶんの話をしよう。」という本を載せる。

この本では、自己紹介のありとあらゆることを知ることができる。(ちなみに、私のエピソードも掲載されています!)

大澤先生は、とにかく外部との繋がりが多い。人脈が広い。
新しいビジネスを始めるのにも人脈が必要だし、資金を集めるのにも人脈が必要である。
人脈が広いと何事にも有利に働く。
大澤先生の成功を間近で見ていると、自己紹介の重要性が分かる。

自己紹介は、自分の行動指針を決めるのにも役立つ。「自分は何がしたいのか」、「自分が譲れない信念は何か」、「自分が今必要なものは何か」を知ることによって、自分の周りの環境を作ることができる。
指針が理解できていないと、周りの人はどんなタスクを振ればいいかわからないし、自分でも「なんのためにこの仕事をしているんだ?」とわからなくなってしまう。

このようなことから、私も「自己紹介」を強く意識して生活している。

そんな中、大澤先生に「後輩たちの自己紹介ちゃんとみてる?あれで江刺くんがOKしたとは思えないんだけど」という旨を言われた。人の自己紹介を見るのはすごく難しい。確かに私には刺さらないと感じたが、誰かには刺さるかもしれない。自分で考え抜いた自己紹介ならいいのではないかそんな風に感じていた。大澤先生は続けて「あのままだと、先方に自己紹介することできないよ」と言った。私も感じていたことであったので、共同研究先の人に見せれるレベルまで後輩の自己紹介レベルを上げようと決めた。

見せ方に苦戦する後輩

ある後輩は、「ゲームに生成AIを導入して新しいゲームを作りたい」と言った。非常に面白く、立派な夢だと思う。自分の行動指針としても成り立っている。しかし、自己紹介とは自己満足のためにあるものではない。たとえそれが本心だとしても、聞き手が興味を持ってくれなければ意味がない。共同研究先の人はゲーム関連の人ではない。もしかしたらゲームを趣味としているかもしれないが、相手がそういう人なのかどうか確かめられていない限り、ゲームの話で展開するのは博打である。
初顔合わせ、まだ研究をした経験がない、という状況を考えれば、「いかに相手にやる気を伝えることができるか」を考える方が得策だろう。
彼はそれを理解し、自分はいかに”面白い”と感じたことに取り組む人間なのかをアピールするという方向性にシフトした。その過程で「ゲームに生成AIを導入して新しいゲームを作りたい」と説明した。正直、"面白い"とは何なのか、まだまだ考えるべき場所はたくさんある。しかし、相手のことを考え、自己紹介ができるようになったのは成長だろう。実際、先方のリアクションも良かった。

自分が何をしたいのか分からない後輩

「新しい世界を作る」と言っている後輩がいた。彼はいろんなことに取り組んでおり、視野が広い。しかし、それが逆に彼を苦しめてしまった。「自分が今まで取り組んできたことを振り返ると信念が見えてくるよ」とアドバイスしたが、彼は色んなことに取り組んでいて信念を言語化させることに苦労していた。彼は非常に活動的で、能力のポテンシャルもある。しかし、自分で「自分の強み」、「自分の信念」を話せなければ、能力を上手く使えないまま終わってしまう。
彼は今も、自己紹介に取り組んでいる。私の知る限り、今年1番自分と向き合っている人だと思う。彼のポテンシャルを引き出せるようにチームとしても応援したいと思う。

チーム初の輪講会

生産性を高めること目標を立てた我々は、知識を付けるという意味でも、輪講会を開催することにした。
読んだ論文は、以下の三つである。

  • Attention Is All You Need

  • Generative Agents: Interactive Simulacra of Human Behavior

  • Communicative Agents for Software Development

Attention Is All You Needでは、再帰ニューラルネットワーク(RNN)や畳み込みニューラルネットワーク(CNN)といった従来のアーキテクチャに代わる、Transformerと呼ばれる新しいニューラルネットワークアーキテクチャについて学ぶことができた。
Generative Agents: Interactive Simulacra of Human Behaviorでは、大規模言語モデルによる人工社会の創作に取り組まれていた。興味深いのはエージェントに組み込まれていたアーキテクチャであり、「内省」を持つことの可能性が見えたことだ。「内省」とは「自分が何者で何をしている人なのか」をエージェン自身が理解することである。これにより、従来の大規模言語モデルより社会的行動を持つことが可能となった。
Communicative Agents for Software Developmentでは、大規模言語モデルによるソフトウェア開発会社を創設することに取り組まれている。1つのエージェントで実装するのではなく、複数のエージェントに役割を与えることにより複雑なコードに対して対処できるようにしている。これにより、開発者の生産性、コード品質、開発期間において、一定の効果が出ることがわかった。

チームの課題と来月の方針

共同研究先との会食が終わり、来月は具体的に研究に取り組むことになるであろう。秘密保持義務があるため、具体的な内容は話せないが、今回の研究は論文を書いて、学会で発表するというテンプレート通りにはいかなそうだ。周りや今までと違う進み方になるだろうが、臆することなく取り組んでいきたい。
輪講会において、チームメンバーからの成果は私の期待するレベルではなかった。このままでは、"言い訳"の上手いチームになってしまう。これからありとあらゆるタスクをメンバーに振り分けるだろうが、タスクをこなせなければ先方など周りに迷惑をかける。これからのチームの生産性は、私が厳しさを持てるかどうかにかかっていると思う。

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