中国のECはどこに向かうのか

これまでの大まかな経緯

1.ECの走りとして大きなプラットフォームとなったのはC2CプラットフォームのTaobao

2.C2Cの特性上、取引に対する信頼が薄くなり、より信頼できるプラットフォームとして誕生したのがTmall

3.ECのプラットフォームが確立しているなか、独自の強み(家電)を生かし、特定のユーザーの認知を得たJD.com

4.規模が出たことで、倉庫・物流を自社化し、コストの削減とより高精度・効率的かつ迅速な配送で日用品のシェアも伸ばしているJD.com

5.1,2級都市に追随しようと3,4級都市の消費力が向上し、グループ購入という形で単価を下げる協力性を強みに伸びたPDD

6.SNSの動画化とライブ放送の時代の流れに伴い、発信力をもとに伸びてきているDouyin(Tiktok)

7.世界No.1プラットフォームである強みを生かし、データを活用した生産ラインまで入りこんでサービス提供を推進しているTmall

現状、このような流れとすみわけになってきている。Tiktokが2021年伸ばしてきている現状はあるものの、ROIや販売価格最安値を要求されるなど、まだECプラットフォームとしての安定感は無いように感じる。

また、Tiktokは発信力があっても求心力は無く、欲しいものが明確になっているユーザーの商品検索をするプラットフォームではない

どのような課題に直面しているか

上記には記載していないが、もう一つ台頭してきてうチャネルはWechatのミニプログラムと考えられる。

大型プラットフォームが、各プラットフォームと競争をしあうことで、価格競争を起こしており、競合ブランドとの競争であれば健全であるが、ブランド内の競争になってしまっている。

そこから、脱出を図り、ある一定数のファンを作れているブランドは公式アカウントとEC機能をもたせ、日常的なコミュニケーションや会員特典を通じ、自社店舗への誘導を図っている。

しかし、どこまで行っても価格面で公式の店舗が最安値になるわけにはいかないため、消費は大手プラットフォームに寄ってしまう。

中国の小売りの一番の課題は、このブランド内価格競争からどう脱却できるかになると考えられる。

そのためには売上を縮小させ、旗艦店などの自社管理が効く範囲に絞りこむ必要があるが、市場はブランド内競争だけではない。

政府の規制により、天猫の価格強制は多少緩和されたがその結果、ほかのプラットフォームが強くなるのではブランドからすると何も変わらないだろう。

今後どう変化していくか

プラットフォーム競争に巻き込まれながら、力を付けるためにはいかに上手く利用するかということがポイントになると考えている。

一番使いやすいのは、データをある程度公開してくれている天猫だと思う。

Databankを使用し(もちろんそのままモール内の広告に使用する音が最も効率的だが)、自社ブランドのユーザーを把握したうえで、オウンドチャネルに集め、粘着度を高めることが重要だと考えられる

ブランドの自社EC化は今後も進んでいくと考えられるが、Tmall・JD.comはECプラットフォームとしては引き続き力を持ち続け、ここに出店しないという選択肢は無いだろう。

マルチチャネルのデータを統合し、それぞれの特徴であったり、チャネルをまたぐ、いわゆるロイヤリティの高い消費者をどう積み上げていくかがキーになると筆者は考えている。

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