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節分の日の掃除機がけPart1🔞

 僕が通った保育園では、節分の日に豆まきがありました。しかも、よくある紙を丸めただけの豆まきではなく、しっかりとした炒り大豆を使用していました。
 節分の豆まきが始まると、結構本格的な鬼が出てきます。もちろん先生が扮した鬼なのですが、保育園児の僕たちにとっては相当怖く、周りには泣く子も結構いる様子で、上級生の年長さんや先生がなだめながら掛け声と共に一斉に手に握ってあった豆が撒かれるという形でした。
 もちろん、必死になって巻かれた豆は、保育室のあらゆる場所や、廊下や階段へと撒き散らされていきます。玄関から鬼が出ていくまで撒くので、玄関先にも豆はしっかりと撒かれていました。そして保育室には、しっかりと白い掃除機が待機しているのが見えたのです。
 今回は前の日の掃除機がけから細かくエピソードを話していきたいと思います。

 前日の保育園が終わり延長保育が始まりそうな頃、先生がいつもと違う話をしている様子が目に止まりました。

「先生!なんの話してるのー?」

 いつも一緒に遊んでいた女の子が、入ってきた先生に向けて興味津々に話しかけます。僕もちょうど気になっていたので、この話を聞き入っていました。すると、いつもの大好きな先生はこちらを向くと、女の子に向かって答えました。

「明日は豆まきをする日でしょ?だからいつもよりいっぱいお掃除しないといけないから、どこをやるか相談してたの!」

 先生は優しく楽しそうに僕らに教えてくれます。確かにいつもは教室に持ってくることのない消毒液と雑巾を持った先生もいます。もちろんいつもの白い紙パック掃除機もありましたが、それよりむしろ雑巾掛けをしなきゃならないという感じだったと思います。今考えれば、床に落ちた豆を食べてしまう子もいるので、やらなきゃいけないんだと思います。でも、雑巾掛けは僕らにとって帰った後に先生たちがやるものという認識だったので、その光景は少し新鮮でした。

「じゃあ、今日は掃除機するだけじゃないの?」
と僕が聞くと、
「そうなの、だから、早めに掃除機は終わらせないとね。」
と先生は言い、早速コードをガラガラッと伸ばし始めました。

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