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2023年映画ベスト10

2023年の映画ベスト10です。
基本的に作品のレビューはFilmarksに書いていますが、レビューをそのまま掲載すると長いので少しコンパクトにしました。

基本的に映画は映画館でしか観ないのですが、今年は週1映画館に行き、50本近くと人生で1番映画を観た年でした。Filmarksに携わるようになる前は、1年で2本程度だったので、大きな生活の変化です。

このnoteで配信で観られる時代に映画館で鑑賞する楽しさをお伝えしつつ、少しでも映画業界に貢献していきたいです。今年観た映画の中からトップ10を多少のネタバレありで紹介します。旧作は含めていません。



10位 市子

杉咲花の演技が凄かったです。市子は同棲していた若葉竜也演じる長谷川義則からプロポーズされるが、翌日に市子は失踪。長谷川義則のところに刑事が現れ、事件を追うところから始まります。

とある社会問題を題材に市子の人生を描いた作品でした。市子と仲が良かった人たちは優しい市子と接しているが、観客からはその一方で冷酷な市子の面も見えて行く。途中から、市子が今後どういって過ごしていくのか、まともでなくなっていくのかと不穏に思わせるような終わり方が印象的でした。Pearl パールやジョーカーという映画を思い起こしました。

9位 枯れ葉

映画は全体的に明るくない雰囲気が続き、淡々と物語が進みます。貧しい主人公の2人は、仕事を失業し気持ちも上がらない、家に帰ってラジオをつけるとウクライナ情勢のニュースばかり流れてくるといった毎日。それでも不思議と悲壮感を感じさせないです。

そんな2人が出会って相手を好きになっていく。凄くロマンチックなシーンもなく出会ってからも淡々と2人で時間を過ごしていく。鬱々とした毎日で嫌なことがある大変な世の中でも、愛は気持ちを前に向かせる普遍的なものだと教えてくれる映画でした。

8位 怪物

邦画の素晴らさを教えてくれた作品でした。タイトルの怪物はミスリードでした。違った立場それぞれの違った視点での見え方が違う話の展開がされていき、そうした人の解釈によって架空の怪物を作り上げてしまうといったメッセージを強く感じました。

現実社会では、私も人の一面性だけ見て、全てを理解した気にならないことを気をつけています。自分の見えてない世界を勝手に解釈してイメージを作り上げないように気をつけています。最後のシーン流れる音楽が最高でした。


7位 マイエレメント

監督自身が移民の方で自身の体験をもとに作られた物語。現実でも多様性のある国では起こっていそうな問題だと感じました。

火と水は一緒に過ごせないがお互い惹かれ合って、どうすれば一緒に過ごせるのか、共存できるのか。お互いの強みを活かして問題を解決し、周りに認めてもらっていく。愚直に前を向き続ける二人に感動しました。

様々なエレメントが暮らすエレメント・シティを眺めているだけでも退屈しません。色鮮やかで引き込まれる世界観です。

6位 TAR/ター

ケイト・ブランシェットの演技が素晴らしい。バーナデット ママは行方不明も観ていたが、全く違った演技をしていて圧倒された。

リディア・ターは天才で女性指揮者のトップに登り詰める。才能も努力も怠らないような人物ですが、地位を自身によって壊し、破滅への道を進んでいく。

強い信念や、原動力があっても自分は間違っていないと思い込み突き進んでいく怖さ、狂気を感じさせてくれる映画でした。

5位 君たちはどう生きるか

難解な映画をどう反芻して言語化していくか。といった視点をもたせてくれた作品。3回観に行った上で、この作品以降難解だと思ってた作品を自分なりの視点で言語化する力が付きました。

宮崎駿なりに、自分は人生をこう生きたけど、君たちはどう生きる?といった問いかけをファンタジー映画として作品にしていました。物語に説明は少なく、話がすぐに切り替わっていく。基本的に宮崎駿の脳内の世界を描いてるので、そんなに抑揚のないシーンや細かいセリフはいらないということなのでしょう。

4位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

206分と長さのある映画だが、物語の繋がりがスムーズすぎて長さを感じさせないようなマーティン・スコセッシの編集力は素晴らしいです。

レオナルド・ディカプリオ演じるアーネストが空っぽの人物として終始描かれていました。私利私欲で動いてるわけでもなく、信念はなく思考停止している人間。ロバート・デニーロ演じるウィリアム・キングの言うことを全く疑うこともなく実行していく。

キングも悪いことをしているとは思っていない。オーセージ族にとって良いことをしているとすら考えており、こちらも思考を閉ざしている。リリー・グラッドストーン演じるモーリーが、アーネストの空っぽさに気づいた上でも一緒に暮らし続け、最後のシーンに繋がったのが印象的でした。

3位 BLUE GIANT

ドルビーシネマで鑑賞。音楽は文句無しでこれは自宅での鑑賞だと映画の凄さが半減してしまいそうだといことを真っ先に感じました。音楽の監修をプロ上原ひろみさんなどが担当しているのもあって、音楽は今までの観た映画の中で断トツの凄さでした。

ブルーノートに行ってみたくなりました。結構駆け足で進んでいくのもあり、細かい描写は端折っていましたが原作を読まずに行っても誰でも楽しめるお勧めしたい作品です。

2位 PERFECT DAYS

トイレ清掃員として働く役所広司演じる平山さんが、静かに淡々と生きてるルーティンを流しているだけの映画ですが、非常に日常が尊いものとして教えてくれます。

平山さんは、裕福な家庭で育ったが親と衝突して家出などして自分の事業をするが失敗してトイレの清掃員として働いてるのかもしれません。トイレの清掃員と一見すると大変そうですが、全く悲壮感を感じません。

平山さんなりの幸せを感じるルーティンを作り上げているようでした。毎日一見変化のない日常を過ごしてそうですが幸せそうです。淡々とした日常でも、小さな変化や揺らぎがあり平山さんはそれに気づける感受性を持ってました。羨ましいです。

毎日人と接してると予想してないトラブルが起きて、ルーティーンは壊れる時もあります。それでも、トラブルを楽しみつつルーティーンを戻していました。大きな変化は起こさずに、穏やかに日々を過ごし小さな幸せを感じる毎日を過ごすことの大事さを教えてくれました。

1位 aftersun/アフターサン

31歳になったソフィが、11歳の時に父カラムとトルコで過ごした休暇のビデオ映像を観ながら、記憶を巡る物語。説明描写は少なく、一見すると親子の旅行ムービーかなと思う作品です。

映画を観る時に細かいシーンから意味を汲み取る重要性を教えてくれました。大人になりたいソフィに対して、苦悩や葛藤を抱えながら、やっと30歳まで成長した父カラムの対比が印象的です。父の苦悩を当日の父と同じ年齢になってからソフィが記憶を巡っていく物語。私にも思い当たる節があり、記憶を辿るってこんな感じだよなということを映画として表現してくれたことに感謝しました。

番外 悪い子バビー

今年日本で初公開ではありますが、旧作ではあるので、ベスト10に入れずに番外としていれました。ベスト10に入ってもおかしくない作品でした。

35歳まで育児放棄をされ地下に閉じ込められたバビー。この年まで社会で生きたこともないバビーがこの世界で生きていけるのか。と思いましたが、最初は失敗し続けますが、そんなバビーでも社会は受け入れてくれました。

バビーには最初自我はなかったですが地下から出てから高速で学び、バビーなりの優しさを手に入れて社会に馴染んでいきました。そんな社会の優しさを感じる一作でした。

まとめ

1位はアフターサンでした!Filmarksのレビューにどんなことを書いてたか見返していましたが、こんなこと書いてたんだと驚いた作品が多かったです。

ベスト10を振り返る映画館を出たあとに映画について考えることが多かった順です。邦画、洋画、アニメとバランスよくランクインしました。来年はもっと映画から感じたことを上手く言語化できるようになり、良い映画に沢山出会っていきたいです。

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