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転職はキャリアアップだけが理由ではない

私は過去に何度も転職をしたことがある。
たいていの理由はキャリアアップを考えてのことだった。外資系にいたこともあり、合併、買収を何度も経験したことも影響が大きい。
最初の会社を転職しようと思ったのも、
これがきっかけだった。

合併、買収というのは、会社の規模拡大、シナジー効果、コスト軽減、等々、株主や経済においては様々なメリットがあり、デメリットもたくさんある中で、経営陣は判断しているのだろうが、
社員の負担は数知れない。(もちろん経営陣の苦悩もあるのは理解している)

これは私の経験。当時入ったばかりの会社が数年で合併、そしてすぐに買収された。
買収された側にいるだけで、どんなに優秀な人も会社を去らなければならない状況に陥り、そしてこれまでのやり方を否定され、残ったとしても
メインの仕事をさせてもらえない、等、露骨な組織編成だった。被害者意識をもっていたことも
あるかもしれないが、たまたまこちらにいただけなのに、という想い一色であった。当時は退職金のパッケージもかなり多かったので、ラッキーと思った方もいるのは事実だが、20代の自分には混沌とした組織、そして人間模様を目の当たりにした貴重な経験だったと思う。
今は日本の企業の中でもM&Aがすっかり定着しているし、社会の急激な変化に合併、買収は珍しい話ではないので、このような「露骨」なことは起きていないと思う。ということを願う。

ここから私の転職が当たり前のものになる人生がスタート。
転職の主な理由は、3回目以外はキャリアアップのためであった。新たな仕事や、責任のある仕事をしたいということが理由であり、当時の熱意が伝わったのか、いいご縁をいただけた。
しかし、3回目だけは違った。
転職の一番の理由は、体力・気力の限界だったからだ。
もちろん責任ある仕事だったし、楽しかった。
チームも一番思い入れのあるメンバーだし、
プロジェクトもいい方向で進めていたし、辞めたくはなかった。
ただ、日々の睡眠不足、出張が多く、時々どこに泊まっていたのかを目覚めたときに忘れている、みたいな生活が1年以上続き、限界だった。
楽しい仲間と仕事をすることに救われていたが、身体の限界には勝てなかった。
ただただ休みたい、身体が悲鳴をあげている、
その理由で転職を決めた。
上長へそのことを伝えると、何で早く言ってくれなかったのか、と言われる。
確かに、しんどい、という声を上長との面談で
伝えていたわけではなく、というより、自分でもあまり気づいていなかった、というのが正しいかもしれない。
チームメンバーや周囲の人たちからは、
「なぜいま?」と心配と疑念といろいろな気持ちが伝わってきた。本当に申し訳ないと思いながらも、自分の決断は揺るがなかった。

引き継ぎもしっかり行い、最終日、みんなが送別会を開いてくれた。罪悪感のある転職ではあったが、それには多くの人が集まってくれて、今まで一番記憶に残る送別会をしてくれた。 
自分としては、仲間数人で飲みに行く、くらいの気分であったので、本当に驚いた。
その企画をしてくれたのも、チームメンバーであった。本当に今思っても感謝しかない。
短い期間ではあったが、今でもそのメンバーとは不定期だが、繋がっている。

転職の理由は、人それぞれで、同じ人でもその時の状況によって様々なものがあると思う。
どんな理由であれ、心から決めたときが、その時なのであろう。
今思っても、あの時の決断はよかった。
理由はなんでもいいのかも。動くことが大事ね。

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