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熊谷守一「生きるよろこび」展

熊谷守一「生きるよろこび」展

国立近代美術館で開催された熊谷守一「生きるよろこび」展が良かった。

特に守一の特徴の赤い輪郭線が生まれる変遷や試行錯誤が年代を追って丁寧に見せられているのが興味深かった。赤い輪郭線が生まれたことで、影の表現が暗く陰気なものでなくなったと言ってたとか。輪郭線によって色と色の関係性が相対化されたからだろう。

赤い輪郭線は、描かれているモノ同士に実体とは別の関係性を与えてるように感じとれる。例えば空

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「弱さの工芸」展

「弱さの工芸」展

銀座松屋で開催されていた、三谷龍二氏監修の「弱さの工芸」展の雑感。http://designcommittee.jp/2018/02/20180220.html

バブル崩壊後の90年代以降、不完全で脆さがあるからこそ「普段着」のように生活の中で親しまれる「弱い」工芸が現れたという。つまり人間的な脆さや不安定さを持っているからこそ、愛着を持って使われる工芸になるのだと解釈した。実際、弱くて壊れやす

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