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宝島で不器用な親子に関わらせてもらった話

あんなに狭い宝島でも、「年をとった姿を見せたくない。」人の中に入りたがらない高齢者がいた。それとは、うらはらに「人の中でおしゃべりしたほうがいい」って、いう人がいる。当然、色んな人がいる。宝島は人口が少ない分、公的にも目が届きやすく、必然的にケアやサービスが手厚くなるように思う。それは良くも悪くも。

本人より、周りの人が気にして、自宅を訪問する。「来んでもいい。」その気持ちは、半分本音で、半分は遠慮とかなのかもしれない。人が近いことは、時に煩わしい。

久美子さんは、認知症を患っていた。「なんかおかしな行動をとるようになっているよ」「昔は、しっかりした人だったのにね。」地域から、そんな声が聞こえ始めていた。敷地内に住む息子さんはいたが、直接関わる姿はあんまり見なかった。「親子なのに。」そんな声も聞こえてきてた。でも僕は、二人とお付き合いさせて頂いていたから、お二人の距離感が分かる気がした。

みかんの木に縛られた思い出と親心

「ガキの頃、婆さんに、このみかん木に縛られて、近所のおばさんに心配された。」息子の豊美さんには、きれいに手入れされた庭で、ビールを呑みながら、そんな話をよく聞かされた。久美子さんは久美子さんで「豊美は独り身だよ、どうするんだろうね。」と。久美子さんは、ご主人を早くに亡くしている。女手一つで、2人の息子を立派の育てあげた。時には、父親の役割もしていただろうと、その頃の久美子さんを見ていても感じる。

厚かましい⁉︎役割作り

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