「新型コロナウイルス問題に対するITの貢献」に思ういくつかのこと(2)

新型コロナウイルス感染症の拡大により人々の行動や企業の活動などが制約を受ける中で、様々な新しい取り組みが行われていることは周知の通りです。

「新しい日常」や「ニューノーマル」といった表現はあるものの、これらの言葉が果たしてどの程度まで「新しい」のか、あるいはわれわれの社会の長期的なあり方にいかなる貢献をなすかという点については検討の余地があるでしょう。

一方で、すでに本欄も指摘する通り、情報通信技術の発展が世界各地の人々に、世界的な規模で感染症が蔓延した過去の事例とは異なる、情報の発信と享受の機会を与えたことは、われわれが実感するところでしょう[1]。

実際、研究の分野に限っても、情報通信技術の進歩が効力を発揮しています。

例えば、図書館が閉鎖や機能の縮小を余儀なくされた時期であっても、日本国内にあっては国立国会図書館を筆頭に各種の図書館や資料館、あるいは出版社などが収蔵する資料を電子化して一般に公開していたために、資料の閲覧などの面で制約は生じたものの、研究者の活動が完全に停止することを免れたのは紛れもないところです。

また、世界的にも、国公私立の図書館や出版社などが積極的に電子化された資料を無償で公開したことは、たとえ時限的な措置であるとしても、常に非ざる事態に際会し、人々が小利を捨てて大欲に就くことを示した、格好の事例であったと言えるでしょう。

その意味で、現在、まさに進展する「新型コロナウイルス問題」ではあるものの、種々の取り組みは参照すべき事例として後世に伝えられることでしょう。

[1]鈴村裕輔, 「新型コロナウイルス問題に対するITの貢献」に思ういくつかのこと. 2020年4月23日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/index/76353/limit:100?frame_id=435622 (2020年6月10日閲覧).

<Executive Summary>
What Is a Contribution of Information Technology against the Measures of the COVID-19? (II) (Yusuke Suzumura)

After Februray 2020 to conduct measures against the COVID-19 is most important issue for the world. On this occasion we examine a contribution of IT to the measures.

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