再び「頭の体操」として考える「新型コロナウイルス問題と納税者の自覚的な態度」

昨日の本欄[1]に引き続き、今日も「頭の体操」を行います。

「新型コロナウイルス問題」に関して政府や自治体による個人や企業などへの補償が速やかに行われない、あるいは実施されても内容が不十分であるという場合、どのような問題が起きるでしょうか。

様々な状況が考えられる中で、今回は短期的と中長期的の2つの観点について、それぞれ代表的な事例を取り上げます。

すなわち、短期的な問題として予想されるのは、個人の生活や自営業などを含む各種の企業の経営などを圧迫することです。

一方、中長期的な問題として考えられるのは、短期的な問題の結果、経済や生産活動の担い手である個人や企業の疲弊を招き、日本経済の停滞をもたらすことになりかねないことです。

また、中長期的な問題が発生する過程では、産業構造の見直しと、雇用の調整は不可避の課題となるとともに、失業問題が不可避となることが考えられます。

ところで、「頭の体操」において生じる別な問題として考えられるのが、政府や自治体が非常の事態に十分な対応を取れない場合の人々の反応です。

この時、われわれの中に、日々支払う税金が果たして適切に、あるいは有効に利用されているか疑問を抱く人が生じることでしょう。

納税は国民の義務であるとはいえ、使途について人々が疑問を抱くことは、納税者として自覚的な態度です。

これに対して、納税者の態度が自覚的になることは、為政者が「民可使由之 不可使知之」と考えている場合には、必ずしも都合の良いものではありません。

どのような取り組みを行っても必ず不利益を被る人がいるのは、われわれが日々体験するところです。

それだけに、今回のような事例を通して納税者の一人ひとりが「税の使い道」により大きな関心を払うなら、その意味は決して小さくないことでしょう。

[1]鈴村裕輔, 「頭の体操」として考える「切迫した状況における為政者の言動」のあり方. 2020年4月12日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/a0b85af2f1f4530b2b72615ba56611d4?frame_id=435622 (2020年4月13日閲覧).

<Executive Summary>
Mental Gymnastics: The COVID-19 Outbreak and Mind of the Japanese Tax Payers (Yusuke Suzumura)

An outbreak of the COVID-19 brings numerous problems in Japan. On this occasion we do mental gymnastics to examine an impact against the tax payers in Japan.

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