「Googleの『伊福部昭 生誕107周年』」で思ったいくつかのこと

今日は作曲家の伊福部昭の誕生日です。

1914(大正3)年5月31日に生まれた伊福部を讃え、Googleの検索欄は「伊福部昭 生誕107周年」と題し、伊福部の肖像画とともに、その事績を象徴する図像が配置されています。

伊福部昭は映画『ゴジラ』(1954年)の音楽監督として、いわゆる「ゴジラのテーマ」を世に送り出したことで知られます。

一方で、生まれ育った北海道を拠点とし、1930年代から主として欧州の最先端の作曲技法を独習により身に着け、東京における学問としての作曲法とは一線を画す特色豊かな語法により、映画音楽から声楽曲まで様々な作品を手がけたことは、必ずしも広く知られているとは言えません。

そのような中でGoogleの検索欄という多くの人が利用する検索サイトが伊福部を取り上げるとともに、テレビのブラウン管に映るゴジラの足をはじめ、旺盛な作曲活動を象徴する楽譜とペン、伊福部が愛好し多くの曲を作ったリュート、そして伊福部の音楽を演奏する様子を描いているのは、大変に印象的です(図1)。

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図1 Googleの検索欄における「伊福部昭 生誕107周年」の画像(2021年5月31日閲覧)

ここには、伊福部の「ゴジラの作曲家」に留まらない幅広い旺盛な活動を象徴的に表現しようとする、制作者側の意欲が見て取れると言えるでしょう。

こうした取り組みを通して、徐々にではあるかも知れないものの、伊福部昭の「ゴジラの作曲家」以外の側面が人々に知られるようになることでしょう。

そして、やがて音楽家としてだけではなく教育者としても日本の作曲界に大きく貢献したこともより多くの人の耳目を集めるようになる日も遠くないかも知れません。

[1]伊福部昭 生誕107周年. Google, 2021年5月31日, https://g.co/doodle/7as6aaq (2021年5月31日閲覧).

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions Inspired by Google's Featured Page to Celebrate Akira Ifukube's Birthday (Yusuke Suzumura)

The 31st May is the birthday of Akira Ifukube and Google celebrated this special day with its home page. In this occasion we examine Ifukube's contributions to music world both inside and outside of Japan.

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