日本国憲法の施行から74年に際し改めて「改憲への道のりの遠さ」を考える

本日、1947(昭和22)年に日本国憲法が施行されてから74年目を迎えました。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受ける中で国家全体の利益のために個人の利益を抑制することが必要であり、あるいは安全保障の観点から緊急事態に対処するためいわゆる緊急事態条項の制定が必要という指摘があります[1]。

確かに、昨今の状況に鑑みれば、こうした意見が一定の力を持つことは当然です。

その一方で、鳩山一郎、岸信介、中曽根康弘、あるいは安倍晋三といった過去の歴代の「改憲派」の首相にとって、「憲法改正」は求心力の維持のための手段であり、もし掲げられた目標が達成された後は人心の掌握が難しくなります[2]。

何より、たとえ国会で憲法改正の発議がなされたとしても、「改憲派」の各勢力がそれぞれの選挙区で憲法の条文の変更に賛成する有権者の数を増やさない限り実際の国民投票で過半数の賛成を得ることはおぼつかないところです。

また、ひとたび国民投票で改憲案が否決されれば、「改憲派」が受ける打撃は大きく、改憲の機運そのものが失われかねません。

憲法改正について国民の間で広く議論がなされることは好ましいものの、「改憲派」の国会議員の全てが自らの選挙区で入念な取り組みを行っているとは言い難い現状においては、憲法の改正は現実味に乏しい話題とならざるを得ないのです。

[1]コロナ・安保 憲法議論迫る. 日本経済新聞, 2021年5月3日朝刊2面.
[2]鈴村裕輔, 安倍首相 憲法改正の本気度は?. WEBRONZA, 2018年11月1日, https://webronza.asahi.com/politics/articles/2018102600005.html (2021年5月3日閲覧).

<Executive Summary>
A Long Way to Amend the Constitution of Japan (Yusuke Suzumura)

Prime Minister Yoshihide Suga mentioned to amend the Constitution of Japan on 3rd May 2021. On this occasion we examine the possibility of an amendment of the Constitution of Japan comparing with former Prime Ministers who were constitution revisionists.

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