「東京都知事選の告示」に寄せて--候補者たちは何を行うべきか

本日、7月5日(日)に投票が行われる東京都知事選挙が告示され、過去最多となる22人が立候補しました[1]。

今回立候補したのは、届け出順に以下の各氏です(以下、敬称略)[1]。

山本太郎
小池百合子
七海ひろこ
宇都宮健児
桜井誠
込山洋
小野泰輔
竹本秀之
西本誠
関口安弘
押越清悦
服部修
立花孝志
齊藤健一郎
後藤輝樹
澤紫臣
市川浩司
石井均
長澤育弘
牛尾和恵
平塚正幸
内藤久遠

今回の選挙は、現職の小池百合子氏が立候補していることから、事実上の小池氏への信任投票となります[2]。

また、現時点では、選挙戦は小池氏に立憲民主党や共産党が支援する宇都宮健児氏が対抗するとともに、れいわ新選組代表の山本太郎氏が宇都宮氏とともに「反小池票」を争い、日本維新の会の推薦する小野泰輔氏が漁夫の利を伺う構図になるものと推察されます。

ところで、正式な公約は選挙公報を待つとして、各候補の第一声を聞く限り、主要候補が新型コロナウイルス感染症対策などに焦点を当てて演説していることが分かります[1]。

もちろん、新型コロナウイルス感染症は現在東京都が直面する最も懸念すべき事項であり、都と都議会が総力を挙げて取り組まねばならない課題であることは明らかです。

そのため、各候補が目下の懸案に対してそれぞれの立場を示すことは、戦術として適切と言えるでしょう。

一方、東京都が置かれた現状に鑑みれば、都知事が取り組むべき課題が新型コロナウイルス感染症だけでないことも論を俟ちません。

今年5月1日時点で人口が1400万人を超えた東京都[3]は一見すると「子育てについて大変力を入れてきた」[4]小池都知事の施策の成果が範囲されているかのようです。

しかし、実際には離島や奥多摩など、人口が減少した市町村があり[4]、東京への「一極集中」が都心部への人口の集中となっていることは見逃せません。

また、少子化と高齢化は依然として進展しており、道路、橋梁、上下水道、あるいは各種の公共施設などの都市の基盤は経年劣化による更新が必須となり、さらに首都直下地震や台風などへの対策も不可避です。

このような点を考えれば、現職候補がこれまでの取り組みの成果を強調することは当然とはいえ、東京都の今後を左右する様々な問題点について具体的にどのような対策がなされて来たか、あるいは今後どのような施策がなされるかが検証されなければなりません。

それとともに、対立する各候補も、現職候補の批判だけにとどまらず、誰が都知事となっても直面する問題にいかなる回答を用意するかを明示する必要があります。

1995年の青島幸男候補の当選以来、しばしば「人気投票」にも例えられるのが都知事選[5]です。それとともに、「人気投票」を勝ち抜いた候補者が、実際に都政に与るとほとんど具体的な成果を残せないまま任期を終え、あるいは辞任したことも疑いえないところです。

それだけに、各候補には、成熟した都市としての東京都の知事にふさわしい、真に解決すべき課題に正面から臨む姿勢を明示することが求められると言えるでしょう。

[1]東京都知事選告示 過去最多の22人が立候補 選挙戦スタート. NHK NEWS, 2020年6月18日, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200618/k10012474821000.html (2020年6月18日閲覧).
[2]信任投票の色濃く. 日本経済新聞, 2020年6月13日朝刊4面.
[3]「東京都の人口(推計)」の概要(令和2年5月1日現在). 東京都, 2020年6月11日, https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/06/11/07.html (2020年6月18日閲覧).
[4]子育て支援の成果強調. 日本経済新聞, 2020年6月13日朝刊15面.
[5]自民都連 知事選へ闘志. 読売新聞, 2019年6月15日朝刊28面.

<Executive Summary>
The Candidates for the Tokyo Governor Election Shall Show the Resolutions to Fundamental and Structural Issues of the City (Yusuke Suzumura)

The Tokyo Governor Elections is noticed on 18th June and 22 candidates join the campaign. It might be required to the candidates to show their resolutions to overcome the fundamental and structural problems in Tokyo.

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