78回目の長崎原爆の日に考える日本政府が「核なき世界」の実現のために果たす役割の大きさ

本日、1945(昭和20)年8月9日(木)の午前11時2分に長崎県長崎市に原子爆弾が投下されてから78年が経ちました。

長崎市では市主催の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が挙行され、鈴木史朗市長が平和宣言の中で核兵器廃絶を強く訴えるとともに、台風6号の九州地方への接近により現地参加を見送りビデオメッセージを送った岸田文雄首相も核兵器のない世界を実現するために非核三原則を堅持しつつたゆまぬ努力を続けてゆく旨を明言しました[1]。

ロシアによるウクライナへの侵攻が長期化し、ロシアが核兵器の使用を示唆することでウクライナと支援国を牽制する一方、他の核保有国でも核戦力を増強する動きがあるだけに、鈴木市長や岸田首相の発言が、昨年と同様に例年以上に注目されるのは当然のことです。

それとともに、長崎市が人類史上最後の被爆地であり続けるために、日本政府が果たしうる役割が大きいことも事実です。

また、今年5月に広島市で開催された主要7カ国首脳会議で核兵器のない世界の実現に向けた「ひろしまイニシアティブ」の策定を主導した岸田首相が果たすべき役割も大きなものです。

それだけに、今後の日本政府の取り組みがいかなるものになるか、われわれは十分な注意を払って状況の推移を見守らねばならないのであり、今回の長崎原爆の日は、そのための重要な節目となったのです。

[1]「核抑止依存、脱却の勇気を」. 日本経済新聞, 2023年8月9日朝刊1面.

<Executive Summary>
What Is the Meaning of the 78th Anniversary of Atomic Boming for the City of Nagasaki? (Yusuke Suzumura)

The 9th August, 2023 is the 78th anniversary of atoic boming for the City of Nagasaki. On this occasion, we examine the meaning of this memorial day for the process of realising the world without nuclear weapons.

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