渋谷区の「ハロウィン規制」に不可欠な観光の促進と地域の美観の維持の視点

今日はハロウィンです。

10年ほど前は一部の人たちのみが参加する行事のように思われたハロウィンも、現在では幅広い層から支持を得て、人口に膾炙しているかのようです。

これに対して、2019年には4万人が訪れた渋谷駅周辺では、今年9月に渋谷区の長谷部健区長が「渋谷はイベント会場ではない。ハロウィーンを目的にして来ないでほしい」と訴え、10月5日(木)にも日本外国特派員協会で同様の主張を行い、外国の報道機関への周知を図っています[1]。

確かに、仮装行列を楽しむ人たちなどが一時に渋谷駅周辺に集結し、近隣地域が混雑するだけでなく、路上での飲酒や塵芥の投棄、あるいは狼藉を含め景観を損なう事態となっているのは、周知の通りです。

それだけに、渋谷区の要請にも一理あるだけでなく、地域住民や各種の店舗、さらに渋谷駅の利用者の安全を確保するためにも、重要な対策と言えるでしょう。

その一方で、混雑や混乱を含め、渋谷駅がハロウィンによって国際的な知名度を高めており、日本国内だけでなく諸外国からも多くの来場者を得ていることも事実です。

従って、ハロウィンを観光資源の一つとして考えるなら、長谷部区長の主張は自ら重要な地域振興の機会を放棄するものとなります。

本来であれば、いかにして混乱や混雑を抑制しつつ大きな特長である日本におけるハロウィンの中心地という渋谷区の魅力を増進するかを考えるのが首長以下の区役所の務めであり、あるいは区議会の取り組みでもあります。

その意味で、今年の渋谷駅周辺の様子がどのようなものとなるかは、今後の渋谷区におけるハロウィンのあり方の方向性を示すだけでなく、観光の促進と美観の意地並びに地域の安全の確保をいかにして実現するかを考える上での、貴重な教材となることでしょう。

[1]渋谷路上飲み 迷惑深刻. 日本経済新聞. 2023年10月20日朝刊37面.

<Executive Summary>
How Can We Evaluate Shibuya-Ku's Prevention of "Haloween Confusion"? (Yusuke Suzumura)

The 31st October, 2023 is the day of Halloween. On this occasion, we examine Shibuya-Ku's preservation of "Halloween Confusion", its effect and future of Shibuya Station as the "centre of Halloween in Japan".

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