日本維新の会と国民民主党の協力協議はいかなる意味を持つか

昨日、国民民主党と日本維新の会が国会対応や政策での協力の拡大を巡り協議することが明らかになりました[1]。

両党とも立憲民主党が主導した「野党共闘」から距離を置き、10月31日(日)に行われた第49回衆議院議員総選挙で議席を増やしたこともあり、現在の路線を維持することが妥当であると判断するのは合理的な態度と言えるでしょう。

特に、小選挙区で擁立した候補者が全員当選するなど大阪府では強固な地盤を持つものの、その他の地域では知名度の浸透と勢力の拡張の余地があるため、労働組合を支持基盤とする国民民主党を取り込むことは党勢の拡大の一助となることが推察されます。

また、国民民主党としても「改革中道」[1]を標榜するものの、実際には「中道右派」ないし「右派」寄りの議員が少なくないだけに、憲法改正問題などで積極的な発言を行う日本維新の会は、「野党共闘」を推進する各党に比べて親近感が強いと言えるでしょう。

その一方で、日本維新の会は労働組合を含む既得権に関わる諸機関に批判的な態度を示し続けています。そのため、協力の協議を行うとしても国民民主党と連携関係にある連合がどこまで容認の姿勢を取るかは不明です。

あるいは、総選挙で議席を伸ばしたとはいえ、国民民主党の勢力が国会内では依然として相対的に小さいということを考えれば、日本維新の会にとって来夏の参議院選挙に向けた都市部での集票のための協力の可能性は否定できません。

このように考えれば、両党の協力は労働組合を巡る対応や憲法改正問題を含む個別の政策でどの程度まで妥協できるかという点が具体的な課題となり、これらの事項を解決できない限り名目的な提携の域を超えることは容易ではないと言えるでしょう。

[1]維新・国民、協力協議へ. 日本経済新聞, 2021年11月8日朝刊2面.

<Executive Summary>
Is It Possible for the Democratic Party For the People and the Japan Innovation Party to Collaborate with Each Other? (Yusuke Suzumura)

It is announced that the Democratic Party For the People and the Japan Innovation Party will collaborate with each other on 7th November 2021. In this occasion we examine a possibility of this plan.


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