岸田文雄は内閣改造と党役員人事でいかなる手腕を発揮するか

昨日、岸田文雄首相が訪問先の広島県広島市で記者会見し、内閣改造及び党役員人事を行うことを表明しました[1]。

今回の人事は新型コロナウイルス感染症対策、ウクライナや台湾の情勢への対応、あるいは安倍晋三元首相の国葬の準備などが理由とされており、連立与党である公明党の山口那津男代表が岸田首相から8月10日に実施する旨の話を伝えられたことを明らかにしました[1]。

7月10日(日)執行の参議院議員選挙に出馬せず政界を引退した金子原次郎農林水産大臣と二之湯智国家公安委員長の交代も大きな理由となる今回の内閣改造で注目されるのは、7月8日(金)に銃撃により急逝した安倍元首相がいない安倍派の処遇であるのは、衆目の一致するところです。

発足当初は安倍氏の影響の大きさが指摘された岸田政権だけに、安倍派が集団指導体制に移行したことを契機に主体性を発揮しようとするのは、ありうべき選択肢となります。

一方、首相退任後も党の内外で存在感を発揮した安倍氏がいない中で、党内最大派閥である安倍派を従来通り遇することは、同派に対して大きな貸しを作ることになります。

政治の要諦の一つが「貸し」と「借り」にあります。それだけに、もし人事を通して長期政権の基礎を固めようとするなら、従来通り安倍派に対応することは岸田首相にとって重要な措置となるでしょう。

安倍氏の死後ににわかに政治問題化した政治家といわゆる旧統一教会の関係といった課題がどのように閣僚人事に影響するか、関係者は事態の推移を注視することになります。

その意味でも、岸田首相がいかなる政治家であるかを知るために、今回の内閣改造と閣僚人事の持つ意味は決して小さくないのです。

[1]松野官房長官は留任. 日本経済新聞, 2022年8月7日朝刊1面.

<Executive Summary>
Will Prime Minister Fumio Kishida Be a Skilled Statesperson against the Cabinet Reshuffle and Appointing Party Executives? (Yusuke Suzumura)

Yesterday Prime Minister Fumio Kishida announces that he will reshuffle the cabinet and appointing party executives on 10th August 2022. In this occasion we examine a meaning this opportunity to evaluate Prime Minister Kishida's ability as a skilled statesperson.

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