何故"Diet"は国会か--ある留学生からの問い

今学期に私が名城大学の交換留学生向けの講義MEP-Eで担当している科目の一つに、"Modern and Contemporary History of Japan"があります。

この講義は1780年代から日本の近代化の歩みとその後の歴史を現在に至るまで辿るもので、私にとっては法政大学の交換留学生プログラムであるESOP以来担当している科目となります。

先週の講義の主題のひとつは自由民権運動で、国会開設を巡る問題をお話しました。

その際"diet"の語を用いて説明したところ、履修している交換留学生の一人から「何故"assembly"や"congress"ではなく"diet"なのか」という趣旨の質問がありました。

「"Diet"はラテン語で会議の審議日を意味する"dies"に由来しており、大日本帝国憲法をドイツ語に訳した際に"Reichstage"の言葉が用いられ、これが英語で"The Imperial Diet"と訳されたことが、日本で国会を"diet"と訳する背景になったのであり、食事制限などを意味する"diet"とは異なる」とお話しました。

一つの用語に対する率直な疑問は大変重要であり、「何故日本では国会を"diet"と訳すのか」も意義深い問いかけです。

そして、こうした問いを通して私も新たな質問に接する機会を得るのですから、ここにも交換留学生の皆さんへの講義の魅力があります。

なお、"diet"が国会を意味するに至った経緯については、浅野雅巳先生のご論考「Parliament, Congress, Dietを中心とする呼称についての諸問題」(『時事英語学研究』第18号、45-53頁、1979年)が大変参考になりますので、ご興味、ご関心のある方はJ-STAGEで公開されているPDFファイルをぜひご覧ください。

*浅野雅巳, Parliament, Congress, Dietを中心とする呼称についての諸問題. 時事英語学研究, 18: 45-53, 1979.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaces1962/1979/18/1979_45/_article/-char/ja/

<Executive Summary>
Why Does the "Diet" Mean the Congress? (Yusuke Suzumura)

One of my courses of this semester is "Modern and Contemporary History of Japan" to explain changes and development of Japanese history from the 1780s to contemporary age. In this course, there was a question from a student to ask the reason why the term "diet" means the congress. It is remarkable question for all participants to understand the translation of the word from one language to another.

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