「改憲への意欲」を示した岸田文雄首相の意欲は本物か

昨日、衆議院本会議で代表質問が行われ、岸田文雄首相が憲法改正について責任を持って取り組むという趣旨の答弁を行いました[1]。

10月23日(月)の所信表明演説においても憲法改正に取り組む意欲を示しているだけに[2]、重ねて改憲への取り組みが強調された形です。

しかし、岸田首相が会長を務めるだけでなく、その一員であることを強く誇りに思っている宏池会は、伝統的に憲法改正問題に対して距離を置いているか無関心であり、経済成長や財政の均衡に注力してきた経緯があります。

その様な中で今回も改憲への意欲を示したことは、来るべき総選挙に向けて憲法改正を希望する層の歓心を買うための一種の選挙対策であると考えられます。

鳩山一郎、岸信介、中曽根康弘、安倍晋三といった憲法改正を宿願とするとされる歴代の首相も、憲法改正を求心力を維持するための方法として活用し、実際には憲法改正よりも日ソ平和条約の締結、日米安全保障条約改定、「小さな政府」の実現、あるいはデフレーションからの脱却といったより大きな課題を優先しています。

こうした過去の事例を考えれば、憲法改正問題に対する関心が低いと考えられている岸田首相だからこそ改憲への意欲を示すことの持つ訴求力の強さが発揮されるのであり、少子化問題や国防費増額に向けた税制改正などの困難な課題を解決するための推進力を維持するための方便として改憲の話題に積極的な姿勢を見せていると推察されます。

それだけに、ますます衆議院の解散総選挙の可能性が高まっていると言えるかも知れません。

[1]改憲「責任持ち取り組む」. 日本経済新聞, 2023年10月25日朝刊4面.
[2]第二百十二回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説. 首相官邸, 2023年10月23日, https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/1023shoshinhyomei.html (2023年10月25日閲覧).

<Executive Summary>
Why Does Prime Minister Fumio Kishida Exhibit Serious Willingness to a Constitutional Amendment? (Yusuke Suzumura)

Prime Minister Fumio Kishida emphasises serious willingness to a constitutional amendment at the answer for the Representative Questions at the House of Representatives on 24th October 2023. On this occasion, we examine the reason why Prime Minister Kishida exhibit such attitude.

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