「2024年卒の企業広報解禁」で考える「成長」の意味

新卒業生の採用に際して、企業は自社の魅力や特長として、しばしば「成長できる環境」を強調します。

確かに、成長できる環境は魅力豊かに思われますから、各社がこうした点を訴求するのも当然のことです。

それでは、「成長」とは何でしょうか。

例えば2歳の子どもが昨日は出来なかったことを今日出来るようになるというように、「成長」とは「新たな能力を獲得すること」のもう一つの表現となります。

そして、子どもの場合に限らず、あらゆる人にとって、さらには人間に限らず企業や組織などにとって、成長に必要なのは、実際に試し、もし成功しないとしても再び同じことに取り組めるという環境です。

2歳児の例に戻れば、前後が逆になってしまい正しく着られなかった服をきちんと着られるようになるためには、何度も試す必要があります。もし、正しく着られなかったからと親が服を着させ続ければ、子どもは自ら服を着ようとしなくなるか、着るとしてもその時期は遅くなることでしょう。

むしろ、親にとって必要なのは「服を着られないなら着せてやろう」ではなく「着られないなら着られるように導こう」という態度であり、前後が正しいかを伝えたり、腕を通す場所がどこかを伝えるといったことになります。

こうした取り組みを組織に当てはめるとどうなるでしょう。

子どもの場合と同様に、組織の成長には試行錯誤が不可欠であり、たとえ組織の構成者が何らかの取り組みで成果を挙げられなかったとしても、再び同じ事柄もしくは別の事柄に取り組める機会を得られることが重要になります。

このとき、組織にとっては、構成者が十分な能力を発揮できるように環境を整えることが大きな役割となり、いかにしてより良い条件を揃えられるかに、運営者が手腕を発揮すべきなのです。

もちろん、構成者の意欲や能力が発展の段階にあるにもかかわらず、その力量と釣り合わない役目が与えられれば、結果は必ずしもはかばかしいものとはならないでしょう。

その意味でも、構成者一人ひとりの適性を見極め、各人の能力に即した役割を与え、また能力の開発を促すことがなければ、組織の成長は覚束ないものです。

2024年春に大学及び大学院を卒業ないし修了する学生を対象とする企業の広報が3月1日(水)に解禁された現在だからこそ、改めて基本的な事柄を考えることは重要と言えるでしょう。

<Executive Summary>
What Is a Meaning of "Growth" in the Case of Job Hunting? (Yusuke Suzumura)

The 1st March is the opening day of company's advertisement for both undergraduate and graduate students. On this occasion, we examine a meaning of "growth" in the case of jobu hunting.

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