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東京都知事選挙における選挙ポスター掲示板のあり方を憂慮する

去る7月1日(月)、目黒区八雲住区センターで東京都知事選挙の期日前投票を終えました。

今回は7月7日(日)の投票日が公務と重なったため、期日前に投票を済ませた次第です。

ところで、今回の選挙は過去最多の56名が立候補の届け出を行い、当初予定されていた選挙ポスター掲示板では候補者の数に足りないことが問題となりました。

一方、実際に掲示板を確認すると、ポスターを掲示していない候補者や掲示板ごとに異なる内容のポスターが貼りだされているものなどがあります。

前者については、すでに本欄が指摘するように、該当する候補者の資金力や動員力を含む組織力が不十分であることを示唆します[1]。

また、後者については政治団体に寄付した人が自由にポスターを貼れるようになっており、事実上、ポスター枠を販売した結果です[2]。

実際、掲示板を見るだけで、依然としてポスターが貼られていなかったり、都知事選の立候補者と関係のないポスターが貼られていたりするなど、有権者にとって候補者を選択するための重要な手掛かりである選挙ポスター掲示板が十分に機能していないことが分かります。

図1 目黒区八雲住区センター前の選挙ポスター掲示板(2024年7月1日撮影)
図2 東急東横線都立大学駅前の選挙ポスター掲示板(2024年7月1日撮影)
図3 町田市役所前の選挙ポスター掲示板(2024年7月2日撮影)
図4 JR横浜線町田駅前の選挙ポスター掲示板(2024年7月3日撮影)

もとより限られた事例であるとしても、部分が全体を表すとするならそこにはなにがしかの意味を見出すことができます。

すなわち、こうした状況は現行の公職選挙法の不備をあらわにするとともに、法の規制がなければ有権者の便益を損なうとしても自らの利益を増進できるので問題ないとする政治団体や立候補者、さらに献金者の見識の不十分さを推察させるのです。

その意味で、今回の都知事選挙は投票結果そのものに劣らず、各候補者の選挙活動や都民に対する態度を知る上でも貴重な事例を提供しており、そのような態度は有権者の投票に直結することを、関係者は銘記しなければならないのです。

[1]鈴村裕輔, 都知事選最初の週末は有権者に何を伝えるか. 2024年6月23日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/5ccc45c1880a070674b02d159a41e51c?frame_id=435622 (2024年7月3日閲覧).
[2]ポスター規制法改正議論. 日本経済新聞, 2024年6月26日朝刊4面.

<Executive Summary>
What Is the Meaning of the Campaign Poster Board for Both Voters and Candidates? (Yusuke Suzumura)

In the Election for the Tokyo Governor, there are many campaign poster board in which no posters are posted or other person's posters are shown. On this occasion, we examine the meaning of the campaign poster board for both voters and candidates.

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