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解説『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』

わかるようで、わからない。
でも、仕事をする上で避けては通れないキーワード。
その筆頭が「コンセプト」でしょう。

しかし、掴みどころがないのもまた、「コンセプト」の特徴。
何をどこまで考えたら「コンセプトが固まった」と言えるのかわからない。
コンセプトを言語化したからといって、すぐに目に見えて仕事が前進するわけでもない。
だから、仕事が進んでいる感を得るために、コンセプトを考えることから逃げて、目先の作業に没頭してしまう。

私にとって「コンセプト」とはそんな存在です。

しかし今回、コンセプトについて、私みたいな凡人でも理解できるよう、クソわかりやすく解説してくれた本があります。
手取り足取り教えすぎなお節介本『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』を今回はご紹介します。

『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』ってどんな本?

本書は、ADKや電通といった広告の最前線で、コンセプトデザイナーをしていた方によって書かれた本です。
ビジネスは再現性の世界ですから、「コンセプトをつくる」という職業でずっと活躍されている著者であれば、きっと「よいコンセプトを再現性高くつくる方法」を伝授してくれることでしょう。

そんな期待を胸に抱きつつ、まず最初に気になるのは
「けっきょく、コンセプトって何よ?」
って話ですね。

本書の「はじめに」に書かれていたので、引用させてもらいます。

コンセプトとは、社会の既存の「当たり前」が見落としてきた、人々がまだ自覚できていない満たされていない欲求を満たし、理想の社会に今より近づくための「提案の方向性」のことであり、同時にアイデア創造の源泉であり、企画の骨子でもあります。

『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』p3

この本を通して、私なりの理解を示しておくと。

コンセプトとは

  1. 世の中の当たり前に隠された「ここではないどこか」を言語化できていること

  2. 企画を進めるうえで判断に迷ったときに、1の文言を読めば、スパッと意思決定できる。それくらい具体的に言語化されていること

この2つの要件を満たしたものだと理解しました。

コンセプトの定義に学ぶ「よい目的の立て方」

本書のコンセプトの考え方、『マーケティングプロフェッショナルの視点』にも書かれている「よい目的の立て方」とも似ていますよね。

例えば、
「サンプリングの目的は、1人でも多くのお客さまと出会うことである」
こんな目的が資料の1ページ目に書いてあったとします。

これ、実はイケていない目的の書き方なんですよね。
『マーケティングプロフェッショナルの視点』に言わせると、次の点でイケていないそうで。

ここで目的として示されているのは、サンプリングという活動の記述にすぎない、ということだ。試供品を配るという行為は、文字通り、1人でも多くのお客さまと出会うことであるだろう。このサンプリング活動の目的は、果たして競合ブランド使用者からの試用者を増やしたいのか、新たに製品カテゴリーの使用者を増やしたいのか、既存顧客の離反を防ぎたいのか、それとも既存顧客の使用量や金額などを増やしたいのか。これが目的である。

『マーケティングプロフェッショナルの視点』p70

「サンプリングの目的は、1人でも多くのお客さまと出会うことである」

これだと「何のために、1人でも多くのお客さまと出会う必要があるのか?」がわかりません。
新規顧客の話をしているのか、既存顧客にフォーカスしているのか、いろいろと読み手が解釈できてしまう。
そうなると、みんなで同じ目的地を目指していたはずなのに、向かっている場所が少しずつ違ってた…なんてことになりかねない。
そうならないためにも、いろんな角度で、目的に対して質問を浴びせていく必要があります。

  • その目的を達成しないと、そもそも何がそんなにマズいのか?

  • 目的が達成された状態は、どんな状態なのか?

こんな問いかけに耐えうる目的こそが「良い目的」と言えます。

この学びと通ずるものを、『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』からは感じ取りました。

誰でも70点がとれる「コンセプト構文」が万能すぎる

「いいコンセプト、いい目的がどんなものかわかった」
「で、どうやって作るの?」
ここが今、みなさんが一番気になっているポイントでしょう。

そのごもっともな疑問に、本書はドン引きするくらい具体的かつ体系的に「コンセプトのつくり方」を言語化してくれています。
ありとあらゆる手法が解説されているのですが、特に私が真っ先に使ってみたのが「コンセプト構文」なるものでした。

冒頭で述べた、よいコンセプトの要件。

  1. 世の中の当たり前に隠された「ここではないどこか」を言語化できていること

  2. 企画を進めるうえで判断に迷ったときに、1の文言を読めば、スパッと意思決定できる。それくらい具体的に言語化されていること

この2点を満たすためのコンセプト構文。
それを1枚で示したものがこちらです。

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