独立開業、副業、経営するときの留意点 #3 超重要な出店エリアの選定
最近は、出店エリアについて調べやすいツールがありますので、ご紹介したいと思います。
1.その前に、商圏の考え方の基本的事項
ECではなくリアル店舗の場合、商圏分析はとても大事です。
例えば、全く同じ商品で全く同じ価格など、条件が全て同じ2つの店舗があった場合、誰しも自宅の近くの店舗に行くようになります。あえて自宅から遠い方の店舗へ行く人は普通いません。
これが何を意味するかもう少し深ぼりすると、この状態に陥ると努力しても改善できない制約が増えるということです。例えばエリアを広げてチラシを配ったとしても、効果が出る範囲は境界線よりこちら側に限定されてしまいます。最初にどこに出店するかはその後の経営の自由度を確保するためにも重要です。
自社と競合する他社を調べ、商圏の重なりや、獲得できる人口などを調べましょう。売り上げの予測にも役に立ちます。
自社の中でも、扱う商材によって商圏の大きさは変わってきます。これはどちらが良いという話しではありませんが、検討する際の重要な要素になります。
経営においてはリピーターを増やすのが基本戦略になります。「パレートの法則(2:8の法則)」というものがあります。2割の優良顧客(リピーター)が8割の売り上げをもたらす傾向がありますので、リピーターを増やすために商品を特化して商圏を広げる方が良いか、近場の顧客を獲得する方が良いか、出店エリアやご自身の得意な分野に応じて決めましょう。
2.jSTAT MAP
では本題の、実際に出店エリアを検討する際にどのように調べるか、です。フリーツールを使った事例を紹介したいと思います。
私は神奈川県の小田原に住んでいますので、小田原を例に記載します。ツールの使い方は別サイトで調べて頂くとして、jSTAT MAPでできることを以下へ記載していきます。
たとえば、移動時間をベースに商圏の範囲を簡単に確認できます。小田原駅を中心に、車で5分、10分、20分の商圏が下左図、徒歩で5分、10分、20分の商圏が下右図になります。
ちなみに、顧客が車で来店してくることを想定した場合、下左図を見て頂ければわかりますが、小田原駅近辺だと半分が海となってしまい、商圏の大きさが削られていることがわかります。この場合、もっと内陸の町の方が良いかもしれません。このようなことが比較的簡便に調べられるようになっています。
また以下は徒歩圏の例ですが、どれくらい世帯数がいるかも数値で確認できます。1次エリア、2次エリア、3次エリアが、徒歩で5分、10分、20分の商圏のことですので、それぞれのエリアの規模感がわかります。夫婦以外の家族がいる世帯数を見るのであれば赤枠の3人世帯から5人世帯の数を目安にする等です。
なお、これは世帯数に限らず人口なども確認できます。
これらの情報から、あとは自社が扱う商材への1世帯当たりの消費額を調べることができれば、積算して獲得可能なご自身の市場規模が概算できたりします。
なおその他にも、たとえば視覚的に人が多いところを確認することもできます。土地勘が無い地域ではとても役に立つと思います。
なお、1地点の単体の調査では良し悪しがわからないことが多いですが、他の地点と比較することで、どちらのエリアがベターか、確認することができます。
また特にフランチャイズの場合は、モデルケースの店舗の数字が開示されていることが多いので、比較することで売り上げ予想も立てやすくなります。たとえば、あるFCのモデルケースが1次エリアがターゲットで、月商が100万円の実績値であった場合を考えます。以下図のようにモデルケースのエリアと小田原エリアを一般世帯数で比較し計算すると、100万円×(27,321/16,614)= 164万円の月商が小田原で開店した場合に期待できるかもしれません。実際はその他の要因が複雑に絡むので概算ですが、あるのとないのとでは全然違います。出店する賃貸物件の価格もエリアによって違いますので、事業収支を概算する際の参考になったりします。
テレビ番組では田舎にカフェを開業しましたー、とかよく見かけますが、個人的にはカフェに1時間も2時間もかけて通うリピーターは少ないと思っています。(その代わり競合はいない場所なのかもしれませんが。)
夢を実現するか、商売を成立させるか、重きをどこにおくか考え冷静に分析するようにしましょう。投資回収まで時間がかかるので、一度出店すると、そんなに簡単に場所は変えられません。
このあたりはフリーツールで調べられますので、ぜひご自身で試してみてください! 最初はお金がかからないのが一番です。
もし調べる手間を省きたいとか、事業計画の策定まで支援してほしい等あればお気軽にご相談ください。
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