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♯01 パッケージについて考えてみる -缶ビール-

こんにちは。ユウスケです。パッケージデザインを主に仕事をしています。
ここでは"THINK PACKAGE"と題してパッケージデザインの観察をしていこうと考えています。

ひとつの製品だけを取り上げた観察ではなく、市場に並んでいる競合製品を見比べ、相対的に観察する事でより深く掘り下げられたらと考えています。

ビールの市場について

日本のビール市場は主に4社で構成されています。
アサヒキリンサントリーサッポロです。
それぞれ以下の主要ブランドを展開しています。

アサヒ → スーパードライ、クリアアサヒ、隅田川ブルーイング
キリン → 一番搾り、キリンラガー、グランドキリン、SVB
サントリー → プレミアムモルツ、モルツ、東京クラフト
サッポロ → サッポロ黒ラベル、プレミアムヱビス

また各社それぞれスタンダードな価格帯の製品と
プレミアムライン、クラフトラインを展開しています。画像1

それでは主要製品に絞りパッケージデザインの観察をしていきましょう。

アサヒ スーパードライ

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シルバーの缶地とロゴが特徴のスーパードライ。
シャープさと硬質なイメージを与え、中味の特徴でもあるドライさが演出されています。その中でもビールとしての認知、ビールらしさを演出するための記号として「ラベル形状」「麦のイラスト」「力強いロゴ」が使われています。
新しさとビールらしさを両立した完成度の高いデザインと言えそうです。
その完成度の高さからシルバー地にスミ文字、差し色で赤を使うと、それだけでスーパードライに見えてしまうほどの認知、強さを持っています。

キリンビール 一番搾り

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麒麟の信頼感と新しさを感じさせる色使いが特徴のキリンビール 一番搾り。
「見た目の新しさ」「麒麟の伝統感」「味わいを感じさせる色使い」この3つの配分、バランスが秀逸なデザインではないでしょうか。
長年大きく変えずに使われ続けてきたレイアウトのフォーマットからは情熱と真摯さを感じさせます。
麒麟のシンボルの強さはスーパードライに負けず劣らずですね。

サントリー ザ・プレミアムモルツ

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要素を減らし洗練されたエレガントさと紺色が特徴のプレミアムモルツ。
他3社のデザインと比べて具体的な強いシンボルがないプレモルのデザインですが、ピルスナーグラスの特徴的なシルエットそれを浮かび上がらせている紺色によって存在感を出していると言えそうです。
細いラインやセリフのあるロゴタイプによって他社にはないエレガントさが演出されています。SUNTORYのロゴが下部の方にレイアウトされているところからサントリービールのブランド戦略が垣間見られそうです。

サッポロ 黒ラベル

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シンプルさによってブランドロゴを強く打ち出す顔が特徴の黒ラベル。
全体の構造としてはスーパードライと一番搾りの間の子、といった印象でしょうか。しかし他3製品と比べ、際立ったシンプルさを持っています。
センター揃えのシンメトリーレイアウトにシンボルも左右対称の図形です。
売り場で引きで見た際に「星のロゴマーク」「SAPPOROのロゴタイプ」そして「サッポロ生ビール黒ラベル」3つの必要最低限の要素視覚に飛び込んできます。これによってユーザーはサッポロ黒ラベルを見失わずに手にとる事ができるでしょう。

プレミアムヱビス

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恵比寿様のイラストとゴールドが特徴のヱビスビール
会社が同じなだけあって基本的なデザインフォーマットは黒ラベルと同一のレイアウトになっています。しかしロゴタイプ細かなデザインのディティールカラーによって同一レイアウトにも関わらずプレミアム感が演出されています。この二つを見比べる事でプレミアム感を演出するためのエッセンスを学ぶ事ができそうです。

まとめ① " ビールらしさ " とは?

それではこれら4つのスタンダード缶ビールを見比べて缶ビールをデザインする際に必要な"ビールらしさ"を演出するエッセンスとは何でしょうか。

○オーバルの文字組み
力強いロゴタイプ金色
○ロゴマーク、ロゴタイプなど全体の強弱がはっきりとしている

以上の2点が言えそうです。

また、ここまで見た中で、カンの良い方は気づいているかもしれませんが
スタンダードなビールでは直接的なビールのシズル表現、分かりやすい麦のイラスト、ビールグラスのシズル写真、ビールの泡など直接ビールと結びつく表現が使われていません。

別記事にまとめようと思っていますが、上記の表現「新ジャンル」「第3のビール」で多く見られます。この辺りも正統派の缶ビールをデザインする際のポイントになりそうですね。

まとめ② パッケージだけじゃない

パッケージデザインだけに止まらずに各社のCMなど広告戦略からも
それぞれどういう人格を持った製品なのかを伺う事ができます。
起用している俳優の方から観察する視点も楽しそうです。

そのような切り口からパッケージデザインを見てみると
コンビニやスーパーの棚もいつもとは違った景色になるかもしれません。

最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これらはデザインを個人的に観察したものです。
実際のコンセプトや正解を書いている訳ではありませんのでご注意下さい。
デザインを行う際の参考、パッケージデザインに興味を持つきっかけになれば良いと考えています。

・画像出典 それぞれ公式サイトニュースリリースよりお借りしています
アサヒビール https://www.asahibeer.co.jp/
キリンビール https://www.kirin.co.jp
サントリー https://www.suntory.co.jp
サッポロビール https://www.sapporobeer.jp

・参考
サッポロ黒ラベルの歴史 https://www.sapporobeer.jp/beer/ideal/history.html
キリン歴史ミュージアム
https://www.kirin.co.jp/entertainment/museum/index.html
PRESIDENT Onlineメタリックシルバーのパッケージで五感に訴えました 
https://president.jp/articles/-/14006

👳‍♂️タイセツニツカウヨ