"選ぶ責任"と"選ばれる誇り"
採用すること、就職すること
先日、動物病院の院長から、立て続けに"採用"に関する相談をいただきました。
「退職予定の獣医がいるから、なんとか早く人材を採用しないと」
「人材紹介会社は高いから使いたくない。求人サイトに掲載してるけど、問い合わせもないから焦ってて、、、」
そりゃあ、焦りますよね、
欠員が出れば病院がすぐに回らなくなりますから。そのしわ寄せは残るスタッフや院長自身にも来るし、何より患者さんに迷惑をかけてしまうし。
すごいまともな流れだと思うんですけど、動物病院業界の実情を補足させてもらうと、多くの病院がこれを繰り返してるんですよ、離職率が高い。
で、僕は既視感(デジャブ)を覚える訳です。
これ、半年前も同じこと言ってなかったかなぁ。
運よく人を見つけられたとしても、また半年後に同じこと言ってるんじゃないですか、と。
僕は、こう提言したいと思っています。
本来、採用や就職は、選ぶ責任と選ばれる誇り、これがあるべきだって。
いつから軽んじられるようになったんでしょうね。
僕は、やっぱり採用する側に一番の原因があると思います。
人材の使い捨て、採用できない状況になってきているのにまだ当たり前に行われてます。
忙しいことを理由に、どうして離職が絶えないのか、何に問題があるのか、目を背けてきていると思います。
働きやすい環境を提供する
聞こえはいいですが、なんか、福利厚生や人事制度を整えることに逃げているような気がしていて。
もっと本質的な、働くことのやりがい、自分の居場所化、心理的な安全性を構築していく、変えていかなければならないことが分かっているはずなのに先送りする。
そして、採用、求職をビジネスとしている会社にも問題があるように思います。
・ペット業界専門の求人サイト
・人材紹介会社からの紹介
特に人材紹介会社は、5年後、10年後のペット業界、動物病院業界を支えてくれるであろう人材に対して、近視眼的にマッチング成立=売上という部分でしか見られてないんじゃないでしょうか。
どうやったって、求職者がこことは合わないだろうって分かっていてもマッチングしてるケースが後を絶たない。
例えば、
求職者に対して、もっと自己分析を促す。
キャリア設計の見直し、展望を促す。
考えが浅い人にはサポートする。
売り手市場の典型ですが、求職者をお客さんのように扱っていては、求職者サイドの責任感の欠如、投げっぱなし、そんな形に既に発展してしまっています。
残念ながら、モラルも倫理もないのかなぁ、と思う訳です。
ただ、サービスを利用し続ける人がいる以上、この流れは続いていきますよね。
"選ぶ責任"と"選ばれる誇り"への回帰
僕たちは、本来の採用、就職の在り方に戻らないといけないと思います。
動物病院、会社もそうですが、
中小企業なんて、オーナーの見せたくない恥部=コンプレックスの固まりだってことを認めないと。
溢れる情報、溢れる選択肢
昔のように生涯勤め上げる人なんていないです。
それをいいことにするんじゃなくて、人を使い捨てるんじゃなくて。
コンプレックスを開示していかないと、偽りの自分、会社を見せてどうするんだ、と。
採用は"広報"だって自社をPRするって、すごく魅力的に見えるけど、
自社の"価値"や"ウリ"を発信していく、とか、そんなキレイにやらなくていいんですよ。
だって価値やウリを答えられない人がほとんどじゃないですか。
恥部=コンプレックスをさらけ出してくれた方が、弱みを見せてくれた方がよほど伝わりますし、経営者やスタッフの顔が見えます。
求職者側も、安易に人材紹介会社に頼るのではなく、自分の目でしっかりみないと、見抜かないと。
そうすることで、病院側へ刺激にもなりますし、人間味があった方が強い動機づけもできると思います。
それぞれの立場でやっていくことで、本来の選ぶ責任と選ばれる誇り、こういう在り方を取り戻していけるんだと僕は思います。
選ぶ責任と選ばれた誇り
このタイトルがふっとフラッシュバックして、
実は僕の父親が20年前ぐらいの兄の結婚式でスピーチした内容なんですよ。
10年後、20年後も、ペット業界が、動物病院業界が役目を持って存在できるように、僕は僕の立場でお手伝いしていけたらと思っています。
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