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読書日記(7冊目)『一億円のさようなら』白石一文(徳間文庫)

この読書日記ではじめて小説を取り上げます。先週土曜に丸善・日本橋店(僕が読む本の8割くらいはここで買っている)に行った際に購入しました。

大学時代に著者のデビュー作である『一瞬の光』を読んで以来、それなりの作品を読んできました。最近はちょっとご無沙汰していたので、久しぶりです。

文庫で600ページを超える作品ですが、テンポがよくてサクサク読めます。冒頭主人公がインフルエンザに懸かったかもというシーンがあるのですが、コロナ禍で読むと、とてもリアルに感じました。ちゃんとマスクを買いにいくシーンがあるのですが、ほんとそうだよなと妙味に納得。

福岡を舞台に、途中から金沢に移ります。地方都市のディテールが丁寧に描かれていて、また食べ物とお酒が美味しそうです。福岡と金沢という歴史ある街の比較も興味深い。

話の繋がりが自然かどうかでいうといかにも小説ですが、それも含めての魅力なのかなと。そんなこと現実にある訳ないという批評も可能でしょうが、現実にありそうな話ならわざわざ小説で読む必要はないでしょうし。まあ好みの問題です。

白石作品といえば、やはりデビュー先のこちらが忘れられないです。

大学生の頃に読んで、衝撃を受けて当時読書好きな友達に教えたらみんなはまっていったという青春?の思い出があります。

白石作品の主人公は、
・男性
・大手企業の会社員
・まあまあの高学歴
・既婚
・東京に住んでいる(が、途中からは福岡の作品も多いような・・・)

という共通点はあります。好みは別れますし、女性読者にはいまいちかもしれませんが、それでも生きることのリアルさ、絶望と希望についてとても生々しく描写されている。おすすめです。



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