ドゥスールドゥプロヴァンス@京都 (ひとり旅エッセイ)
京都ひとり旅。
2日目は嵐山方面からスタート。
初日の様子はこちら↓
京都へは、中学の修学旅行や家族旅行で何度か来たことがあるのだが、嵐山を歩くのは初めてのことだった。
嵐山はやはり多くの観光客でいっぱいだった。
そして、そのほとんどが外国人や修学旅行生たちであった。
ひとり旅をしてるような人をほとんど見かけることが出来ず、なんだか切なくなってきた。ひとりでいることが、なんだか寂しく思えてきてしまった。
街並みやお寺を歩いていたら人混みや喧騒に少し疲れてしまったので、美味しいおうどんを食べたら、嵐山を離れることにした。
嵐山から離れてたどり着いたお寺で、ひとりの外国の方とすれ違った。その人は僕の目をじっと見たあと、ニコッと微笑んだ。僕も反射的に微笑み返した。
彼の目は「ココ、マジデヤバクナイデスカ?」って言っていたような気がする。
だから僕も「ヤバいね、ここ本当すごいよね」って目で訴えた。
ここは、東山区にある知恩院。
浄土宗総本山である知恩院は、とにかくその規模が桁違いだった。「大きなお寺さんだなぁ」では表せないくらい大きかった。何もかもが大きすぎて、自分が小さくなったのかとすら思った。
「え、ほんと、ここ、本当すごくない?」
ずっと頭の中で喋っていた声は、ついにこの知恩院で漏れてしまった。僕は小さな声でずっと「すごいわ、すごいわ」とブツブツ言っていた。
もしかしたらあの外国人の彼は、ブツブツ呟く怪しい僕に警戒して微笑んできただけなのかもしれない。
御影堂の中は、これまたすごかった。きっとここが極楽浄土で、このとき僕は死後の世界にいた気がする。
「すごかったなぁ、ほんとすごかった」
本当に圧倒されると言葉は出なくなるもの。
僕は「すごかった」だけをブツブツ呟きながら知恩院をあとにした。
名残惜しさと、三門の素晴らしさに、少し歩いては振り返って写真を撮るを何度か繰り返した。
このあとの予定は特に決めていなかったので、知恩院を出たまま、気分に身を任せて歩いた。
すると、祇園の花見小路通りに入った。
通りの真ん中にちょこんと佇む辰巳大明神。
このあたり一帯は、Netflixドラマ「舞妓さんちのまかないさん」のロケ地になっている。そのドラマ内では主演の森七菜ちゃんや出口夏希ちゃんが辰巳大明神でお詣りしているシーンも何度かあった。
行き当たりばったりで歩いていたら、旅程にはなかったここに辿り着けたのだ。思いがけず、好きなドラマの聖地巡礼ができて、とても嬉しかった。
嵐山もそうだし、祇園を歩くのも初めてだ。
こんなにも素晴らしい場所をずっとスルーしていたなんて、修学旅行のときはマジでどこで何をしてたってんだ。
花見小路通りにすごくいい感じのカフェがあったので、そこで少し休憩することにした。
「いらっしゃいませ、こちらのお席どうぞ〜」
可愛らしい店員さんは一番景色の綺麗な席に案内してくれた。平日の昼下がり、優雅にお茶をしているのは僕だけだった。
注文した名前の難しいお茶とレモンケーキのセットは、とても美味しかった。
「お水お注ぎしますね〜」
「あ、あのもう一度メニュー見てもいいですか」
「ん、もちろん!はい、どうぞ〜」
「どうも。このお茶、なんて名前だっけって……」
「あー、ドゥスールドゥプロヴァンスですね!」
「ドゥ、え?」
「へへへ、ごゆっくりどうぞ〜」
ドゥスールドゥプロヴァンス。
ローズヒップやアップル、ハイビスカスやエルダーベリー、そしてルイボスなど、とにかくいろんな「カタカナ」がブレンドされたお茶だった。
カタカナだらけで覚えづらいけど、美味しくて、落ち着くお茶だ。ちなみに一緒に注文したレモンケーキは、シトロネルという名前らしい。
カフェをあとにしても、まだ外は明るい。
祇園の花見小路通りを抜けて、四条大宮のホテルの方へ歩いて向かうことにした。
のんびりと小1時間ほど歩いていると、また気になるカフェにぶつかったので迷わず入店してみた。
そこはブックカフェのような雰囲気だった。
テーブルの上に有川浩氏の著書「阪急電車」が置かれていたのでパラパラと読んでみた。
たしか映画化もされていたような。
今度観てみようかな。
メニューをパラパラと眺める。
つい小1時間前に別のカフェでドゥスールドゥプロヴァンスとシトロネルを堪能してきた僕だが、このカフェでもしっかり甘いものを食べる気。
例えばカロリーだとか、旅先で考えるのは野暮だ。食べたいと思ったら、何でも、どんなタイミングでも食べたほうがいい。
なんて、自分に言い聞かせて、注文した。
「はーい、お待たせしましたぁ」
よし、来た。
「オレンジジュースとフレンチトーストですね」
あぁ、この、身の丈に合った響き……!
さっきのカフェでは少々背伸びしちゃってたな。
帰り際、雑居ビルの8階にあるこのカフェのテラスから、清水寺の方へ向かって拝んだ。
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