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身体と心を考えるー聖地熊野の漢方薬屋2 体温と免疫

   こんにちは。拙文に、早速「スキ」を付けて戴いた方々には心から感謝申し上げます。またそれとは関係なく大事なお時間を使って読んで戴ける方々にも心からお礼申し上げます。
 



●低体温症が増加している!

 
 書店へ行きますと、体温を上げて健康になると言う類の本が目立ちます。実際、店頭でご相談に見えたお客様に体温を尋ねると「低いんです。35℃台しかなくて」という方がおおぜいいらっしゃいます。通常、体温は36.5℃が基準となりますし、36.2度以下だと妊娠しにくいとも言われています。
 
 人の身体は、普通一定の体温に保たれ、戸外などに出て「寒い」と感じる場合、その情報は神経を通って脳の中の視床下部というところに伝えられ、そこで体温に関する情報が処理されます。そして今度は神経を通って皮膚に伝えられることで、皮膚の血管が細くなり、皮膚から逃げる熱が少なくなります。いわば視床下部は、身体全体の温度を調整する司令塔のようなもの。
 
 視床下部の大事な働きは、自律神経のコントロールで、その自律神経が体温の標準温度を決めて、つねに体温を一定に保とうと働きます。人の体温は、36.5℃から37℃の範囲で保たれています。これより5℃高い41.5℃の発熱ですと、すぐに死に至ることはまずありませんが、逆に5℃低い31.5℃では、体内での代謝活動(細胞の働きなど)が阻害され、生きていくことができません。人の身体は体温の低下には非常に弱いと言えます。
 
 さらに、体温は免疫にも大きく関わり、風邪をひいたときに発熱するのも、体温を上げて免疫力を高めようとする防御反応と言われています。体温が低いと、体内細菌への抵抗力が低下、腸内で悪玉菌や有害細菌が増殖し、様々な病気や感染症の原因にもなります。体温が1℃下がると、一般に免疫力が30%以上低下するとも言われます。
 

●低体温症増加の原因は生活習慣

 
 エアコンの使いすぎ、過剰な冷飲食、運動不足による筋力の低下、睡眠不足などの生活習慣の乱れが、自律神経(交感神経・副交感神経)の乱れに繋がり、体温調節に異常が発生、それに伴って身体内の酵素の働き(代謝に関わります)が下がったり、冷えを強く感じたりしてきます。代謝の低下は肥満を招くこともあり、これにストレスが加わりますと、自律神経のバランスが乱れて、さらに体温調節が悪化、免疫力が低下することになります。
 
 そうならないためには、睡眠、野菜中心の食事、運動と言うことになりますが、すでにそうなってしまっている方には、漢方をお勧めします。
 
 例えば、「おたね人参」は、血流改善による冷え防止とともに、自律神経系を調整する働きがあり、乱れた自律神経を立て直す効果が期待できます。また女性に多い冷え性や生理不順などには当帰や芍薬、黄耆などを用いた漢方も頻用します。また漢方ではおたね人参のほか基礎体温を上げる作用のある生薬(当帰など)を処方したものはたくさんあります。ご相談を。

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