書評 #11|下町ロケット ゴースト
人間の本質。池井戸潤の作品に通底するテーマだ。 ものづくりには人の精神が宿る。『下町ロケット ゴースト』でも登場人物たちが縦横無尽に自問自答し、それぞれにとっての答えを見出そうとする。正解はない。答えを求める過程に人柄が映る。その濃淡が本作の醍醐味だ。この後の文中では作品の核心や結末が示唆されているため、気になる読者は読むのを避けてもらいたい。
濃淡の中にも不文律は存在する。それは仕事の対象だ。顧客は何を求めているか。そこに思考を巡らせる。その源は「お前らしさ」や「オリ