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第7話 『すれ違い』



体内を振動させるくらいの低音のマフラー音を
鳴らしながら、車高の低いハーレーを走らせるサラ。



サラは街の路肩にバイクを停めて、ヘルメットを脱ぎ、綺麗なロング髪をなびかせる。



路面の小さな花屋に入り、店員に軽く会釈をした。



店内を見渡し、派手な髪色とメイクをしたパンクな店員に話しかける。






サラ 「すみません。白のカーネーションの花束を頂けますか?」


店員は不思議そうな顔をして、近づいてくる。



店員 「プレゼントですか?」




サラ 「いや....。はい。まあそんなところです」


店員はクスッと笑った。






サラ 「何かおかしいですか?」



店員 「いや。すみません。さっきも同じ事を言ってた人が白のカーネーションの花束を買っていったので」





サラ 「その人....。どんな人ですか?」



店員 「んー。身体の大きい人で、スキンヘッドで、サングラスかけてましたよ。ちょっと怖そうな人でしたけど、とてもピュアな目をした人でした。それと赤いカーネーションの花束も買っていきましたよ」







サラ 「その人。どのくらい前に来ましたか?」


店員 「本当にさっきですよ。30分くらい前だと思います」






サラ 「あの。花束を早めに見繕って頂けますか?」


店員 「あっ。はい。すぐにやりますね」


サラ 「お願いします」










店員 「その方とはお知り合いなんですか?」

店員は手慣れた手つきで花束を作りながら話しかける。


サラ 「んー。わからないです。でも、もしかしたら、私の知ってる人かもしれないです」



店員 「白のカーネーションの花束を渡すなんて、結構ベタな方だなとは思ったんです」



サラ 「もし、知り合いの人だったなら、お相手の方がとてもカーネーションが好きでして、回りくどいのが嫌いな方だったんですよ」







店員 「そうなんですね。もしお2人が知り合いだったら、プレゼント被っちゃいますね」



サラ 「そうですね。でも、その人はカーネーションは何本あってもいいって言ってたので、きっと喜んでもらえると思います」


店員 「なら安心ですね。はい。出来ました」


綺麗に包まれた花束を受け取るサラ


サラ 「ありがとうございます」

店員 「もし、知り合いだったら、よろしくお伝えくださいね」


サラ 「はい。伝えておきます」










店員に会釈をして、足早にバイクに戻るサラ。


バイクにまたがり、花束が落ちないように太ももで挟む。


エンジンをかけて、アクセルをいつもよりも回して、急いで走らせるサラ。


赤信号で止まるサラ。反対車線に見覚えのある車があるのに気づく。











古い黒のボルボ。


車の中に2人の男性が乗っているのがわかるが、太陽の反射で顔を確認する事が出来ない。


信号が青になる。
サラはアクセルを回さず走り出さなかった。



後ろからクラクションを鳴らされるが、
サラは近づいてくるボルボの中を確認しようと必死だった。






ボルボがサラの横を通ると、サングラスをかけたスキンヘッドの男が運転しているのが見え、
助手席の金髪の青年と目が合う。



車は一瞬で通り過ぎ、サラはサングラスでスキンヘッドの男を見て、知り合いの面影を感じたが、ゆっくりと進行方向にバイクを走らせた。



墓地に着き、白いカーネーションの花束の置いてある墓の前に立つサラ。




サラ 「やっぱり。来てたんですね」



8話につづく

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